2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11680573
|
Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
相崎 守弘 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (20109911)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 啓子 島根大学, 生物資源科学部, 講師 (80322220)
|
Keywords | Corbicula japonica / 無酸素耐性 / 肥満度 / ろ過速度 / 大量へい死 |
Research Abstract |
昨年度の研究の結果、ヤマトシジミが斃死をおこすときにはろ過速度の低下・無酸素耐性の低下・軟体部重量の減少が起こっていることがわかった。そこで本年度は、ろ過速度・無酸素耐性・肥満度(軟体部重量が貝のサイズに支配される値であるため)の3項目に注目し、これらの項目を用いてヤマトシジミの健康状態を判断するための指標値の確立を目標として研究を行った。 まず、島根県神西湖畔に建設した人工湿地のヤマトシジミを用いて、一年間を通じた生息環境と健康状態の把握を行った。その結果、(1)肥満度は初夏から秋にかけて大きく減少すること(減少率68%)、(2)ろ過速度は初夏と秋に高く(0.14〜0.17L/個体・hr)、盛夏はやや低く(0.12L/個体・hr)、冬季に大きく低下する((0.1L/個体・hr未満)こと、がわかった。(1)は放卵・放精による重量低下に加えて、餌料の低下、貧酸素化なども関係していると考えられた。(2)は主に水温変化によると考えられた。無酸素耐性は実験期間を通じてほとんど変化がなく、人工湿地内においては大量へい死をおこすこともなく、ヤマトシジミはおおむね健康な状態を保っていたと判断された。 更に、上記の結果、肥満度は7割近く減少したにもかかわらず斃死が起こらなかったことから、環境悪化によってへい死をおこす場合におけるろ過速度および肥満度の変化を詳細に測定する実験を行った。1)無酸素状態で飼育した場合、2)無給餌状態で長期飼育した場合について、室内実験を行った。その結果、肥満度の一日当たり3%以上の急速な減少、およびろ過速度の0.1L/個体・br未満へ低下が同時に起こった場合にヤマトシジミが大量へい死をおこす状態にあることが明らかとなった。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 前田伊佐武,相崎守弘,山口啓子,藤田直樹: "汽水湖水を連続供給した屋外水槽でのヤマトシジミの水質浄化能に関する研究"水環境学会誌. 23・11. 716-720 (2000)
-
[Publications] 相崎守弘,高橋愛,山口啓子: "ヤマトシジミの大量斃死機構に関する基礎的研究I"LAGUNA(汽水域研究). 8(印刷中). (2001)
-
[Publications] 末光健治,山口啓子,相崎守弘: "ヤマトシジミの大量斃死機構に関する基礎的研究II"LAGUNA(汽水域研究). 8(印刷中). (2001)