1999 Fiscal Year Annual Research Report
日本における公害経験の開発途上国への移転可能性に関する研究
Project/Area Number |
11680575
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
藤倉 良 立命館大学, 経済学部, 教授 (10274482)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
押谷 一 酪農学園大学, 環境システム学部, 助教授 (70289825)
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Keywords | 技術移転 / 公害対策 / 開発途上国 / アジア / 環境モニタリング |
Research Abstract |
日本が開発途上国に対して実施している公害対策に係る技術移転は,国内の激しい公害と闘った経験を持つ専門家の個人的な知識と経験にたよっているのが現状である。その一方で,公害が改善されてから30年前後の時が経過し,貴重な財産である公害経験情報が散逸し,失われようとしている。当時の情報を収集し,施策の効果を評価し,技術移転した場合の実行性を早急に検証しなければならない。本研究では今年度,日本の環境政策を評価した既存の研究事例を比較検討し,日本の公害対策の技術移転効果を評価するための研究の枠組みを構築した。 そのなかで,まず日本の成功例として環境モニタリングをとりあげた。日本の場合,一般環境と排出源からの汚染物質量は徹底してモニタリングされてきた。こうして積み上げられたデータをもとに,環境基準や規制基準が設定できた。また,モニタリングで摘発された違反者には公平に罰則が適用された。一方,現在の途上国では,日本的な定点における経年の一般環境モニタリングは殆どなされていない。各排出源に対しても,もれなく監視しているという状況ではない。このような場合,モニタリング体制の構築はもちろん重要ではあるが,体制が完成するまでの間,抜き打ち検査によって企業を摘発し,重罰を課することで,他の企業に対策を促すというような手法も考えられよう。 また,年度末にはフィリピンで現地調査を行い,円借款によって建設された石炭火力発電所における公害対策の実態,汚染課徴金などラグナ湖の水質保全施策に関する情報を収集した。平成12年度には,現地で収集されたデータに基づき,フィリピンにおける環境モニタリングの実施状況,大気及び水質モニタリングデータの活用実態を評価し,日本的なモニタリングの実施可能性等について検討する予定である。
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Research Products
(1 results)