1999 Fiscal Year Annual Research Report
水環境におけるクリプトスポリジウム等の存在状況の把握及び代替指標の確立
Project/Area Number |
11680584
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Research Institution | 国立公衆衛生院 |
Principal Investigator |
国包 章一 国立公衆衛生院, 水道工学部, 部長 (90083740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋葉 道宏 国立公衆衛生院, 水道工学部, 主任研究官 (00159336)
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Keywords | クリプトスポリジウム / 藻類 / モデル粒子 / 直接ろ過 / 濁度 |
Research Abstract |
本年度は、クリプトスポリジウム除去の代替指標の確立に向けて、オーシストと大きさ、比重が同程度で、水道原水に含まれる藻類に着目してろ過実験を行い、ろ過による抑留・漏出挙動及び除去率についてオーシストのそれと比較検討した。また、オーシストの代替トレーサーとして開発されたモデル粒子についても併せて検討した。供試藻類として、緑藻Selenastrum capricorntum(以下、S.capricorntum)、藍藻Microcystis viridis(以下、M.viridis)及びMicrocystis aeruginosa(以下、M.aeruginosa)を選んだ。モデル粒子は、オーシストの代替トレーサーとして開発されたもの2種類(MX-500、SX-500)を使用した。オーシストは、市販(関東化学)のホルマリン固定不活化されているCryptosporidium parvumを使用した。直接ろ過は、直径3mmのろ過筒を用いて、ろ材として珪砂を100mm充填し、ろ過速度15m/hの条件で実験を行った。原水は、脱塩素処理した水道水にカオリンで濁度10度となるように調製し、藻類、モデル粒子又はオーシストをそれぞれ1,000個/ml添加したものとした。凝集剤(PAC)注入率は、ジャーテストにより求めた最適凝集領域(ゼータ電位:-10mV程度)の8mg/1とした。なお、実験時の水温は20℃前後、pHは7.0±0.4であった。その結果、ろ過水漏出濁度、個数挙動及び破過時間とオーシストのそれとを比較すると、藻類ではS.capricorntum、M.viridis、モデル粒子ではMX-500が類似しており、SX-500は破過までの時間が短い傾向であった。ろ層深さ方向における個数分布で見ると、オーシストとS.capricorntum、MX-500では表層から下層にかけてほぼ同じ割合で少なくなっているが、M.viridisでは表層で多く捕捉される傾向が認められた。従って、S.capricorntum 、MX-500は漏出濁度、個数の挙動、補足分布が類似しており、クリプトスポリジウム除去の代替指標になり得ることが明らかになった。
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