1999 Fiscal Year Annual Research Report
がんの新しい診断・治療法の開発を目指した腫瘍細胞集積性ペプチドの合成研究
Project/Area Number |
11680593
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
若宮 建昭 近畿大学, 理工学部, 教授 (10028243)
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Keywords | がん / 4-フルオロテラニン含有ペプチド / 中性子捕捉療法 / p-ボロノフェニルアラニン / 腫瘍細胞集積性 / PET |
Research Abstract |
がんの診断および治療は、21世紀においても依然として人類にとって最重要課題の一つであることに間違いはない。がん撲滅のため、これまでに実に様々な取り組みがなされて来たが、短寿命の放射線ポジトロンを利用したポジトロン・エミッション・トモグラフィー(PET)によるがん診断、あるいは、ホウ素-10(^<10>B)と熱中性子との反応で生ずる低エネルギーのα-粒子を利用するがんの中性子捕捉療法は、新たな可能性を秘めた手法として注目を浴びつつある。 本年度は、4-フルオロフェニルアラニン[Phe(4F)]含有ペプチド9種を合成し、それらの腫瘍細胞集積性を調べた。その結果、これらのペプチドはいずれもがん細胞に特異的なオリゴペプチドトランスポーターを介して腫瘍細胞に取り込まれるという、重大な事実を見い出した。来年度は、フェニルアラニンの簡便なフッ素化反応の開発に向けた研究を進めなければならない. p-ボロノフェニルアラニン(BPA)を含むジペプチドの合成は、BocストラテジーおよびZストラテジーのいずれによっても可能であった。現在までに、セリン、グルタミン酸、リジン3種のアミノ酸をC-端としたBPA含有ペプチドを合成した。これらのペプチドは、いずれもBPAの約300倍の水溶性を有し、BPAが水に溶けにくいという問題点を解決することができた。しかも、BPAと同等、あるいは、より高い腫瘍細胞集積性が認められ、今後の中性子捕捉療法に向けた試験に大きな期待を抱かせる結果が得られた。また、BPAの新規合成法の開発にも成功した。
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