1999 Fiscal Year Annual Research Report
新規含フッ素ポルフィリンおよびポルフィリン誘導体の合成と性質
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11680596
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Research Institution | Fukushima National College of Technology |
Principal Investigator |
青柳 克弘 福島工業高等専門学校, 物質工学科, 助教授 (40150940)
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Keywords | ポルフィリン / メソ位 / トリフルオロメチル基 / 光化学反応 / 有機合成 / 酸化還元電位 / エネルギー計算 / 歪み |
Research Abstract |
有機化学的手法を用いて、ヘム蛋白質の機能と構造に関する多くの情報を得るための一連の研究の一つとして、メソ位にトリフルオロメチル基を有するポリフィリンを合成し、さらに、β位とメソ位双方にトリフルオロメチル基を有するポリフィリンの合成についても検討した。 まず初めに、オクタエチルポルフィリン(OEP)とCF_3I光化学反応によってメソ位に1つだけトリフルオロメチル基を有するポルフィリン1(meso-MTFP)を選択的に合成することができた。(収率28%)亜鉛錯体を用いた反応でも同様で、多置換体は確認できなかった。また、2-(1-hydroxy-2,2,2-trifluoroethyl)pyrroleを前駆体として、メソ位に4つのトリフルオロメチル基を有するポルフィリン2(meso-TTFP)の合成も行った。(収率15%)2の酸化還元電位をβ位に4つのトリフルオロメチル基を有するポルフィリン1,3,5,7-tetrakis(trifluoromethyl)-2,4,6,8-tetraethylporphyrin(β-TTFP)のそれと比較したところ酸化電位、還元電位共に200mV程度アノディックシフトしており、HOMO、LUMO共に安定化していることがわかった。1と1-(trifluoromethyl)-2,3,4,5,6,7,8-heptaethylporphyrin(β-MTFP)の場合も同様の傾向であるが、酸化電位の差に対して還元電位の差が大きく、また、エネルギー計算の結果からも1のLUMOがHOMOに比べてより安定化していることがわかった。このような傾向は、環が歪んでいる場合にみられ、メソ位のトリフルオロメチル基とβ位のエチル基との相互作用により、環が部分的に歪んでいるものと思われる。^1H-NMR、^<19>F-NMRなどの結果からもこのことが示唆された。4-ethyl-2-(1-hydroxy-2,2,2-trifluoromethylpyrroleを前駆体としたβ位とメソ位双方にトリフルオロメチル基を有するポルフィリン3の合成についても検討したが3を得るまでには至らなかった。
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