1999 Fiscal Year Annual Research Report
神経芽腫細胞上に特異的に存在するガングリオシドの構造と機能に関する研究
Project/Area Number |
11680602
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
斉藤 佑尚 東京工業大学, 生命理工学部, 助教授 (30134810)
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Keywords | 神経芽腫 / ガングリオシド / 血液凝固反応 / 血小板凝集 / 分化誘導 / モノクロナル抗体 |
Research Abstract |
神経芽腫細胞のGOTO細胞が他の細胞に比較して高い血小板凝集・血液凝固能を有する事を発見し、更に本細胞をBrdUによって分化誘導するとこの活性が激減する事をも発見した。その血小板凝集・血液凝固能のメカニズムを検討したところ、本細胞が血液凝固第X因子を補助してプロトロビンよりトロンビンを産生する事を確認した。そこでその反応に関与するであろう物質を、本細胞より単離精製してそのメカニズムの解明を目指した研究を開始した。先ず本細胞の分化誘導前後で細胞表面分子が変化すると考え、その変化を認識するモノクロナル抗体の作成を試みた。その結果得られた興味あるモノクロナル抗体の一つの抗原は意外にもタンパク質ではなく、極性の高い脂質であった。現在のところ未だその化学構造は正確には解明されておらず、質量分析および核磁気共鳴法による検討を行っているところである。 今後は更にその生合成経路を解明すべく、放射ラベルされた各種代謝前駆物質を細胞に与え、その取込みを調べて代謝経路よりその構造のヒントを得たいと考えている。例えば、スフィンゴ糖脂質であれば、アミノ酸のセリンの取込みの確認およびその特異的阻害物質の影響等が有効であると考えられる。又糖脂質かどうかの検討にはガラクトースの取込み等が考えられる。更にその機能に関しても構造の解明とともに進めて行く予定である。血小板上で通常上記の反応が行われる際に関与が確かめられている酸性リン脂質以外の脂質の関与は大変に興味深い。
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