1999 Fiscal Year Annual Research Report
外因系血液凝固阻害因子TEPIとヘパリンの相互作用機構
Project/Area Number |
11680605
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
亀井 加恵子 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授 (00214544)
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Keywords | 外因系血液凝固阻害因子 / ヘパリン / 相互作用 / 硫酸基 / 脱硫酸 / 糖鎖構造 |
Research Abstract |
外因系血液凝固阻害因子TFPIはXaおよびVIIa因子を阻害する事により外因系血液凝固反応の開始反応を阻害するプロテアーゼインヒビターである。TFPIは硫酸化多糖であるヘパリンと相互作用することにより,その活性が増強される。その相互作用にはヘパリン糖鎖に不規則に結合している硫酸基が関与していると考えられる。本研究は,ヘパリン中のどの構造がTFPIと相互作用しているのかを明らかにし,ヘパリンによるTFPIの活性増強のメカニズムを解明することを目的としている。 ヘパリン中の硫酸基のN位,6位および2位の1種を化学的方法で位置選択的に脱離させた脱硫酸化ヘパリンを調製した。脱硫酸化ヘパリンの構造はNMR法により確認した。脱硫酸化ヘパリンをリガンドとしたアフィニティーカラムよりTFPIが溶出される食塩濃度を測定した。また,脱硫酸化ヘパリンを固定化したキュベットを用いた生体分子間相互作用解析装置(LAsys)による測定により,それぞれのヘパリンとTFPIとの解離定数,k_<ass>およびk_<dis>の値を測定した。その結果,TFPIとヘパリンの結合にはN位,6位および2位の全ての硫酸基が関与しており,1種の硫酸基を脱離させるとその結合速度が減少することが分かった。しかし,N脱硫酸化ヘパリンとネイティブヘパリンの解離速度は同程度であったことから,TFPIとヘパリンの相互作用にはN位の硫酸基の寄与が一番小さいと考えられた。 続いて,限定条件下の亜硝酸分解によりヘパリンを断片化し,ゲルろ過を繰り返すことにより,2糖,4糖,6糖などの断片に分離した。それぞれの断片をリガンドとしたアフィンティークロマトグラフィーにより,TFPIと相互作用する最小糖鎖は18糖と推定された。
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[Publications] 加藤久雄: "立体構造からみたTFPI(Tissue Factor Pathway Inhibitor)の作用機構"日本血栓止血学会誌. 10・4. 299-304 (1999)
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[Publications] T.-V.Ta: "Fructose 1,6-Bisphosphate Aldolase is a Heparin-Binding Protein"J. Biochem.. 125・3. 554-559 (1999)
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[Publications] 高野 良: "部位特異的脱硫酸化によるヘパリン-タンパク質相互作用の解析"日本血栓止血学会誌. 10・1. 45-55 (1999)