2001 Fiscal Year Annual Research Report
位置特異的重原子標識法の開発によるタンパク質立体構造解析の高度精密化
Project/Area Number |
11680606
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
中沢 隆 奈良女子大学, 理学部, 助教授 (30175492)
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Keywords | 重原子標識アミノ酸 / タンパク質の立体構造 / 精密X線構造解析 / トリプトファン / セレノトリプトファン / エネルギー最小化 / ペプチド合成 / コンピューターシミュレーション |
Research Abstract |
本研究課題は、重原子含有アミノ酸の合成、そのアミノ酸のタンパク質への取り込み、及び標識タンパク質の精密構造解析からなる。このうち重原子含有アミノ酸については、合成の困難なセレノトリプトファンに変えて5-ブロモトリプトファンの合成に成功した。現在さらにタンパク質の標識化により適していると考えられるアルセノトリプトファンの合成を試みている。標識アミノ酸のタンパク質への取り込み方法に関する研究は、プロテアーゼによるタンパク質の半合成と固相ペプチド合成を組み合わせた方法を検討した。これはすべてのタンパク質がセレノメチオニンの場合のような遺伝子工学的手法で標識できるとは限らないからである。そのモデルとして、活性部位を化学修飾したsubtilisn(セリンプロテアーゼの一種)を用いたribonuclease A(RNase A)のS-peptideとS-proteinからの再構成実験を試み、別途エネルギー最小化計算で予測したアミノ酸置換によるペプチド断片の立体構造変化を考慮して合成したS-peptideアナログとS-proteinから変異RNase Aの半合成に成功した。この研究の計算結果に関しては既に学術論文として発表済みである(裏面研究発表参照)。またこの実験結果は同時にエネルギー最小化計算のアルゴリズムが高い精度で構造予測を行えることを証明しているため、今後、重原子標識したタンパク質に関する精密構造解析に適用可能であることも同時に示している。以上の研究成果は重原子標識タンパク質の実際に調整し、その構造解析を行うという当初の目標までは届かなかったが、重原子アミノ酸が十分な量確保できれば直ちにこの目標が達成できるレベルには十分到達したと自負している。
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[Publications] S.Ymazaki, M.Sakamoto, M.Doi, T.Nakazawa, Y.Kobayashi: "Synthesis of novel all-cis-functionalized cyclopropane template-assembled collagen models"Journal of Chemical Society, Perkin 1. 1870-1875 (2001)
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[Publications] T.Nakazawa, S.Ban, Y.Okuda, M.Masuya, A.Mitsutake, Y.Okamoto: "A pH-dependent variation in α-helix stucture of the S-peptide of ribonuclease A studied by Monte Carlo simulated annealing"Biopolymers. Vol.63,No4. 273-279 (2002)