1999 Fiscal Year Annual Research Report
顆粒球コロニー刺激因子受容体を介するシグナル伝達機構の解析
Project/Area Number |
11680635
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
村上 宏 岡山大学, 工学部, 助教授 (90260174)
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Keywords | シグナル伝達 / 顆粒球コロニー刺激因子 / 受容体 / 転写因子 / 増殖 / 分化 / 細胞周期 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
我々はこれまでに、前駆細胞がG-CSF刺激依存に好中球に分化するin vitro系を構築した。この系を用いて、G-CSF刺激で誘導される好中球への分化誘導に伴いみられる増殖停止の分子機構を、分化誘導に関与する転写因子と細胞周期の調節因子とを関連づけて解析する目的で、好中球の分化に関与するとされる転写因子、PU.1,C/EBPα,C/EBPε及び、細胞周期調節因子(CDK阻害因子)p21(WAF1),p27(KIP1)について、それらの遺伝子発現を解析している。これらのcDNAをRT-PCR法により単離し、それらをプローブとして、Northarn blot法により遺伝子発現を調べた。その結果、C/EBPε、p21(WAF1)についてはG-CSF刺激後3日までに、わずかなmRNAの増加(最大約20%)が見られたが細胞周期を停止するに十分とは考えられなかった。 一方、G-CSF刺激による初期の遺伝子発現調節、特に好中球分化誘導に関与する遺伝子を解析するため、昨年度までに刺激後15分以内に発現が誘導される遺伝子を数種類単離し、ついで好中球への分化を誘導できない種々の変異型G-CSF受容体を発現する細胞株において、単離された遺伝子のG-CSF依存の発現に異常があるか否かを解析した。その結果、分化誘導のシグナル伝達に必要な領域の欠失受容体の発現細胞ではこれらの遺伝子の発現誘導が起きていなかったが、アミノ酸置換変異型受容体の発現細胞では分化誘導能と、これらの遺伝子の発現誘導とは必ずしも相関していなかった。そこで、新たに分化誘導能のある野生型受容体発現細胞でG-CSF刺激依存に発現し、分化誘導能のない変異型受容体発現細胞で発現しない遺伝子の探索をおこなっている。
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