2000 Fiscal Year Annual Research Report
顆粒球コロニー刺激因子受容体を介するシグナル伝達機構の解析
Project/Area Number |
11680635
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
村上 宏 岡山大学, 工学部, 助教授 (90260174)
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Keywords | シグナル伝達 / 顆粒球コロニー刺激因子 / 受容体 / 転写因子 / 増殖 / 分化 / 細胞周期 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
G-CSF刺激依存の分化に伴う増殖抑制機構を解析するために、好中球前駆細胞GM-I62Mあるいは32Dcl3細胞をG-CSF刺激後、細胞周期調節因子および好中球分化誘導への関与が示唆されている転写因子PU.1,C/EBPα,C/EBPεの遺伝子発現をNorthern blotで検討し、G-CSF刺激による増殖抑制機構への関与を検討した。CDK阻害因子p21WAF1は発現量に変化なく、p27KIP1,p19INK4Dは発現が誘導された。一方、転写因子C/EBPα,C/EBPεの発現は上昇したが、PU.1の発現量は変化しなかった。したがって、G-CSF刺激依存の増殖抑制には、p27KIP1,p19INK4Dの発現が関与していると考えられた。また、C/EBPα,C/EBPεがp27KIP1,p19INK4Dの発現を制御している可能性が考えられたため、不活性型C/EBPεを強発現した細胞株を樹立しp27KIP1,p19INK4Dの発現に対する影響を検討する。(平成12年12月日本分子生物学会で発表) 一方、分化誘導能の欠損したG-CSF受容体発現株では発現せす好中球へ分化する細胞株ではG-CSF刺激により発現する遺伝子をスクリーニングしたところ、数種類の遺伝子を同定した。そのなかでSTAT3遺伝子およびNAIP3遺伝子について解析した。G-CSF刺激依存にSTAT3タンパク質はリン酸化され活性化し種々の遺伝子の発現を誘導するが、STAT3自身の遺伝子の発現が誘導されSTAT3タンパク質がさらに生成される事が明らかになった。これによりSTAT3活性化による好中球分化誘導のシグナル伝達がさらに増強されるものと考えられる。NAIP3は細胞死を抑制する因子であり、G-CSF刺激でNAIP3が誘導されることで分化誘導時での細胞死抑制に関与していることが示唆された。
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