1999 Fiscal Year Annual Research Report
ホスファチジルセリンの生合成調節機構と細胞内輸送機構に関する研究
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11680644
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
久下 理 国立感染症研究所, 細胞化学部, 室長 (30177977)
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Keywords | ホスファチジルセリン / リン脂質 / 生合成 / 細胞内輸送 |
Research Abstract |
PSは小胞体で生合成され、その多くがミトコンドリア内膜に輸送されミトコンドリア内膜酵素であるPS脱炭酸酵素によりホスファチジルエタノールアミン(PE)へと変換される。このPS脱炭酸経路は、細胞膜や細胞内の各オルガネラ膜のPEレベルを正常に保つために必須の経路であり、それら生体膜の機能発現に密接にかかわっているものと考えられる。しかしながら現在、この経路に関わる酵素に関しては多くのことが明らかにされているものの、PSの小胞体からミトコンドリアヘの輸送機構、及びミトコンドリア外膜から内膜への輸送機構はほとんど理解されていない。そこで、PSの小胞体からミトコンドリア内膜への輸送機構を明らかにすることを目的とし、以下の研究を行った。CHO-K1細胞株からPSのミトコンドリア外膜から内膜への輸送に損傷を有している変異株を分離することに成功した。同変異株の解析から、PSのミトコンドリア外膜から内膜への輸送にはPSに非常に特異的な輸送装置が関与していることが明らかにされた。セミインタクト細胞を用い、PSの小胞体からミトコンドリアヘの輸送に細胞質タンパク質が関与しているか否かを検討した。その結果、この輸送を促進するタンパク性の因子が複数、細胞質に存在することが判明した。さらにその因子の一つを精製することにも成功した。
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[Publications] Emoto K.,Kuge O.,Nishijima M.and Umeda M.: "Isolation of a Chinese hamster ovary cell mutant defective in intramitochondrial transport of phosphatidylserine"Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 96. 12400-12405 (1999)
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[Publications] Kuge O.,Saito K.and Nishijima M.: "Control of phosphatidylserine synthase II activity in Chinese hamster Ovary Cells"J.Biol.Chem.. 274. 23844-23849 (1999)