2000 Fiscal Year Annual Research Report
RGSタンパクの加速作用のパターン決定機構に関する研究
Project/Area Number |
11680647
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
斉藤 修 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 主事研究員 (60241262)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田桐 恵 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (10260308)
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Keywords | Gタンパク / RGS / 脱感作 / カリウムチャネル / 受容体 / 伝達物質 / 脳 / 神経 |
Research Abstract |
神経特異的な三量体Gタンパク制御因子のRGS8とRGS7のGタンパク応答の加速パターンの制御機構を明らかにするのが、本研究の目的である。 昨年度は、まずRGS8のRGSドメイン以外の特徴的なN末配列の意義を、イーストを用いた機能解析を行って検討した。その結果、RGS8のフェロモン応答を脱感作する効率が、そのN末を失うと明らかに低下することが判明した。しかし、N末の欠失は、RGS8のGαとの反応性には影響していなかった。さらに、Gタンパク応答の加速パターン調節について検討した。すると、オン・オフ加速はN末の有無に左右されないが、RGS8の示すリガンド存在下での脱感作は、N末欠失によって消失することが明らかになった。本年度は、このRGS8N末配列が、どの様な機構に関わって、脱感作効率をさらにGタンパク応答のパターンを左右しているかを明らかにするため、細胞内の分布制御との関連を検討した。 1)まずRGS8に特異的な抗体を作成した。次にDDT1MF2細胞に、RGS8とN末35残基を欠いたΔNRGS8を発現させた。そして、それぞれの細胞から細胞質画分・膜画分を調製し、抗RGS8抗体を用いたウェスタンブロット解析を行った。その結果、RGS8は膜画分に、N端のないΔNRGS8は分布が大きく変化し主に細胞質画分に検出された。これらのことからRGS8のN端領域には細胞内分布支配に重要な配列があることが判明した。 2)RGS8を蛍光タンパクGFPとの融合タンパクとしてDDT1MF2細胞に発現させ、その細胞内分布を観察した。その結果、RGS8は主に核に濃縮して存在することが明らかになった。しかし、RGS8の反応相手であるGタンパクは細胞膜に存在している。そこで細胞がGタンパク刺激を受け、RGS8が機能する際にどのような分布を示すのかを検討した。RGS8は、GαoとGαi3に反応する。そこで、活性型変異体のGαoを共発現させ、Gタンパク刺激を行った。すると、RGS8が核から細胞膜表面の突起状の構造に移動することが判明した。即ち、RGS8は、非刺激時には核に主に存在していて、Gタンパク刺激に伴って細胞膜表面に移行して行くという、極めてダイナミックな動きを示すことが明らかになった。そこでさらにこのRGS8の核内分布・細胞膜移行に、そのN端配列が如何に関わっているか詳しく検討した。すると、非刺激時での核内分布に、さらにダイナミックな細胞膜へのトランスロケーションにも、そのN端配列が必要であることが判明した。しかし膜移行できないΔNRGS8は正常なGαとの反応性をもつことから、Gタンパク刺激に伴う細胞膜移行が直接的なGαとの結合によるものであることは考えにくい。 以上の解析から、RGS8はそのN端配列によってその細胞内分布がダイナミックに支配され、それによってRGS8の生理的作用が制御されていることを、明らかにした。
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[Publications] Osamu Saitoh et al.: "Molecular Cloning and characterization of Xenopus RGS5"Biochem.Biophys.Res.Comm.. 270.1. 34-39 (2000)
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[Publications] Osamu Saitoh et al.: "Regulator of G Protein Signaling 8(RGS8) Requires Its NH_2 Terminusfor Subcellular Localization and Acute Desensitization..."J.Biol.Chem.. 276.7. 5052-5058 (2001)