2001 Fiscal Year Annual Research Report
免疫系におけるCD2/CD58複合体形成の分子メカニズム
Project/Area Number |
11680657
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北尾 彰朗 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30252422)
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Keywords | CD2 / CD58 / 複合体形成 / NMR / 構造精密化 / 結合自由エネルギー / ダイナミクス / 分子動力学 |
Research Abstract |
本研究では、CD2とCD58の複合体形成のメカニズムを解明するため、実験データ(主にNMR)及び分子シミュレーションを用い、以下の3点を明らかにすることを目標としている。目的1、CD2/CD58複合体形成に伴う蛋白質の構造及びダイナミックスの変化を原子レベルで解明する。目的2、CD2/CD58複合体が、どの残基のどの化学基がどのような相互作用(静電相互作用・疎水相互作用等)によって安定化されているかを、アミノ酸置換に伴う結合エネルギーの変化から定量的に評価する。目的3、1と2の結果を踏まえ、CD2/CD58複合体形成のシグナル伝達における役割を解明する。 本年度の実績は以下のとおりである。目的1に関しては構造精密化の方法において大きな進展があった。構造精密化においては、多数の立体構造に関してその近傍でのゆらぎを明らかにする必要がある。そのために分子動力学法を用いて構造のサンプリングをおこなってきた。この段階で通常の分子動力学法ではなく、アンブレラサンプリング法を用いることでより効率的に目的の立体構造の近傍をサーチすることが可能になった。 目的2を達成するための自由エネルギー計算では、昨年度は分子研の杉田有治氏との共同研究によりあらたな計算法(REUS法)を開発した。本年度はこの方法を利用した自由エネルギーの計算を行っているが、残念ながら具体的な成果を得るには至らなかった。目的3に関してはCD2と同じくIgドメインを持つT細胞受容体(TCR)の動的構造との比較から、CD2とTCRはCDR部位に同様のダイナミックドメイン的ゆらぎが見られることが明らかになった。Ig共通するゆらぎのパターンが見られたことはこれらの分子の機能メカニズムを理解する上で重要もある。この研究課題は本年度で終了するが、今後も研究目的を達成するために研究を継続していく予定である。
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