1999 Fiscal Year Annual Research Report
溶液NMRからの長距離情報によるタンパク質立体構造決定法の開発
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11680662
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
白川 昌宏 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教授 (00202119)
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Keywords | NMR / 双極子-双極子相互作用 / 水素結合 / Ras蛋白質 / ヌクレオチド |
Research Abstract |
残余双極子-双極子相互作用の測定に関しては以下の実験を行った:(1)リン資質DMPC,DHPC混合物によるディスク状ミセルbicelleを共存させることによる試料蛋白質の部分配向、(2)Pf1ファージを共存させることによる試料蛋白質の部分配向、(3)ファージにより配向させた蛋白質試料の主鎖アミドプロトン-アミド窒素、アミド窒素-カルボニル炭素、α炭素-α水素核間の残余双極子-双極子相互作用の測定、(4)得られた双極子-双極子相互作用の立体構造へのフィッティング、(5)得られた双極子-双極子相互作用による構造情報の立体構造計算への適用。(1)に関してはbicelle作成が困難であった。しかし混合比、混合方法の検討と除湿の徹底などにより、磁場中できちんと配向するbicelleを調整することに成功した。しかし蛋白質と混合すると多くの場合、蛋白質とbicelleの強い相互作用、蛋白質あるいはbicelleの変性といった不都合な結果となった。また安定に蛋白質-bicelle系が得られた場合も数日間の内にbicelleの変性を招いた。(2)に関しては安定な測定が可能となり、(3)の各種測定が可能となった。ヒトMTH1蛋白質に対して、得られた双極子-双極子相互作用の立体構造へのフィッティングしてみたが、あまり良い一致を示さない。双極子-双極子相互作用を構造計算にいれたものでは良いフィッティングが得られた。しかし、双極子-双極子相互作用を計算に導入することによって有意な立体構造決定の改善は確認されていない。しかし、双極子-双極子相互作用を計算に導入することによって有意な立体構造決定の改善は確認されていない。構造計算への導入に考慮が必要であろう。 ヒトMTH1蛋白質について主鎖間の水素結合をスカラー結合によって直接観察を行い、立体構造決定の情報として利用した。TROSY法を利用したHNCOスペクトル測定により、水素結合の供与基、受容基を構成する多くのアミド窒素とカルボニル基間のスカラー結合が観測された。これは構造決定に重大な改良を与えた。特に非規則的なβシート部分、枝分かれした水素結合の同定に甚大な効果を示すことがわかった。水素結合のスカラー結合による直接観察については、Ras-GDPの系で主鎖アミド基とヌクレオチドリン酸中のリン原子の間に、初めてスカラー結合が存在することを示した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] T.Iregami,T.okada,M.Hashimoto,M.Shirakawa その他(計6名:6番目): "Solution structure of the Chitin-binding domain of Bacillus Circulars WL-12 Chitinase A1"Journal of Biological Chemistry. (印刷中).
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[Publications] I.Ohki,N.Shirakawa,M.Shirakawa その他 (計5名:5番目): "Solution Structure of the methyl-CpG-binding domain of Human MBD1"The EMBO Journal. 18. 6653-6661 (1999)
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[Publications] Y.Kake,M.Goto,その他(計9名:7番目): "The role of human MBF1 as a transcriptional coactivator"Journal of Biological Chemistry. 274. 34196-34202 (1999)
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[Publications] M.Mishima,J.Ozaki その他(計9名:9番目): "Resananie assignments,secondary structure and ion relaxation data of the human transcriptional coactivator hMBF1(517-148)"Journal of biomolecular NMR. 14. 373-376 (1999)
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[Publications] J.Ozaki,T.Ikegami,その他(計9名:9番目): "Identification of the core domain and the secondary structure of the transcriptional coactivator MBF1"Genes to Cells. 4. 415-424 (1999)