2000 Fiscal Year Annual Research Report
生体のままでホヤ幼生脳神経系の情報伝達分子やその挙動を可視化する
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11680663
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
岩佐 達郎 室蘭工業大学, 工学部, 教授 (00133926)
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Keywords | Gタンパク質 / 情報伝達 / GFP / 原索動物 / ホヤ / 遺伝子導入 / 卵発生 / 発現調節 |
Research Abstract |
1)ホヤで機能する種々のプロモータ配列を検索する:研究代表者等が見いだしたマボヤ新規Gタンパク質遺伝子HrGnとHrGx遺伝子の上流部位をクローニングすることが出来た。HrGn遺伝子上流については上流6KbPまでの配列を確定した。HrGnは尾部筋肉でも一時期発現することが分かつている。尾部筋肉アクチン遺伝子の発現制御配列は明らかにされているが、それに対応する配列はこの6kbpには見出されなかった。また、それ以外のホヤでこれまで明らかにされている制御配列も見いだされていない。HrGx遺伝子上流については約7Kbpのクローンを得、その配列を解析している。 2)プロモータ領域とレポータ遺伝子の融合ベクターを作成し、遺伝子発現をGFPの蛍光で可視化する:HrGn遺伝子の場合、上流3.5Kbpに、その時空間的発現を制御する部位の有ることが分かった。尾部筋肉と間充織とで主要な発現が認められる。更に必要な配列を絞り込むために3.5Kbpを種々の長さまで削り取ったベクターを作成して検討中である。しかし、HrGn発現の時間的に早い所ではGFP由来の蛍光を観察することは出来なかった。これは発現量の問題か、実際発現していないのかについて、in situなど異なった方法での検討が必要である。 3)まとめ:現在までのところ、目的とする情報伝達分子の可視化に向けての道具立てはそろったが、肝心の情報伝達分子の可視化には成功していない。その原因としては、情報伝達分子の発現量の問題。それと関係することではあるが、観察装置の検出感度の問題があると思われる。ホヤGタンパク質の大腸菌での発現を試みたところ、大腸菌の生育が著しく悪くなると言う現象が観察された。これが、Gタンパク質発現による効果なのか、発現システムの問題なのか、いずれであるかは現時点では明らかではないが、生体での発現の場合でも同様な問題を解決することが必要であることがわかった。
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[Publications] Iwasa Tatsuo et al.: "G Protein α Subunit Genes in Octopus Photoreceptor Cells."Zoological Science. 17-6. 711-716 (2000)
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[Publications] Iwasa T., et al.: "Comparative Study of Gi-class G Protein of Ciona intestinaris with That of Harocynthia roretzi."Zoolgical Science. 17.sup. 109 (2000)
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[Publications] 岩佐達郎 他3名: "ホヤの情報機能分子の発現調節部位の検索とそれを利用した情報機能分子の可視化の試み"生物物理. 40Sup.. S68 (2000)
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[Publications] 吉田麗子 他4名: "ホヤ幼生の脳神経系で特異的に発現しているGタンパク質遺伝子"生物物理. 40Sup.. S213 (200)
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[Publications] Tatsuo Iwasa et al.: "Heterotrimeric G Protein α and β Subunit Genes of the Ascidian,Halocynthia roretzi.in"Biology of Ascidians""Springer-Verlag Tokyo. 6 (2001)