1999 Fiscal Year Annual Research Report
光合成系II超分子複合体の高分解能電子線結晶構造解析
Project/Area Number |
11680668
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
中里 勝芳 理化学研究所, 光合成科学研究室, 協力研究員 (50172292)
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Keywords | 光合成 / 光化学系II複合体 / 電子顕微鏡 / 二次元結晶 / 膜タンパク質 / 超分子複合体 / 酸素発生 / 高分解能構造解析 |
Research Abstract |
ホウレンソウより、酸素発生能を十分保持した光化学系II複合体をイオン交換及びゲル濾過クロマトグラフィーにより単離精製した。得られた光化学系II複合体の酸素発生能は単離精製に用いた界面活性剤に大きく影響し、最も高い酸素発生能を保持した光化学系II複合体はドデシルマルトシドで可溶化したものであった。この標品にチラコイド膜より単離した脂質(主にMGDG,DGDG)を加え、自作の界面活性剤除去装置(結晶化溶液中に少量のバイオビーズを自動的に徐々に添加する装置)を用いて二次元結晶化を試みたところ、二次元結晶が得られた。しかし、その大きさは最大で200nm平方程度であり、高分解能での解析に耐える大き1さではなかった。好熱性らん藻より単離精製した光化学系II複合体の二次元結晶化を種々の条件下で試みたところ、二次元結晶は得られなかったが、高いタンパク質濃度の場合に三次元結晶が得られた。最大約30マイクロメートルの濃緑色菱形状の結晶であり、偏光も観察された。また、ホウレンソウ由来の光化学系II複合(CP47,D1,D2,cyt.b559,psbI蛋白)をイオン交換及びゲル濾過クロマトグラフィーにより高純度で単離精製し、種々の脂質を加えて二次元結晶化を試みたが、これまでに得られている結晶よりも大きく結晶性の良い物は得られなかった。透析法による膜タンパク質の二次元結晶化においては、結晶化溶液中からの界面活性剤の除去速度が重要な要因となるため、筆者は透析外液中の界面活性剤濃度を数日から数十日にわたって連続的に徐々に低下させることのできる新たな透析装置を作製した。
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