2000 Fiscal Year Annual Research Report
RNAポリメラーゼII系遺伝子の転写制御におけるタンパク質修飾反応の役割
Project/Area Number |
11680685
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Research Institution | Saitama Medical School |
Principal Investigator |
久武 幸司 埼玉医科大学, 医学部, 助教授 (70271236)
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Keywords | 基本転写因子 / バキュウロウイル / タンパク質リン酸化 / 転写 / TFIIH / キャッピング反応 |
Research Abstract |
1 GAL4-VP16による転写活性化でのERCC3ヘリカーゼ活性の役割 ERCC3ヘリカーゼは基本転写ではpromoter openingとpromoter escapeの段階で作用しているが、GAL4-VP16による転写活性化ではどこで作用しているこかを検討した。まず、premeltした鋳型を用いて転写活性化反応を行いTFIIHの変異体の影響を検討した。この結果、転写活性化の際にTFIIHが関与するのはpromoter escapeの段階であることが分かった。またこの作用は基本転写で見られるTFIHの役割とは異なり、転写活性化に特異的である。実際、種々の変異プロモーターを用いて、転写をごく初期の段階で止め、promote escapeの段階で転写活性化の効果が見られるかどうかを調べると、転写のごく初期に転写活性化因子が作用していることが分かった。この、作用には転写活性化因子のみならず、転写補助因子PC4も必要である。この転写のごく初期の段階では、RNA polymerse IIはまだ安定に転写を行っていないようであり、abortiveな転写に終わることが多い。実際、ATPのアナログを用いて、転写のごく初期の段階でERCC3の活性を止めると、RNA polymerse IIはpromoterから離れてしまう。以上のことより、転写の活性化にはpreinitiation complexの形成を促進するだけではなく、promoter escapeを促進することが重要であることが分かった。また、転写のごく初期反応のkineteicsを検討した結果、promoter escapeは転写活性化の際も基本転写の際と同じようにrate limitingであることが明らかとなり、転写活性化でpromoter escapeが促進されていても、この段階の反応速度は変化しない。 2 転写とキャッピング反応のカップリングにおけるTFIIHの役割 我々は、水本博士との共同研究にて転写とキャッピングが同時に起こる再構成系を開発した。この系では、RNA polymerse II以外はすべて組換え体因子を用いている。この系を用いると転写開始とキャッピング反応がカップリングして起こり、通常のキャッピング反応に比べて非常に効率よくRNA末端へのGTPの付加と塩基のメチル化が起こることが観察された。現在この系を用いてTFIIH特にそのキナーゼ活性とキャッピングの関係およびその分子メカニズムを鋭意検討中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Ishiguro,A.: "The Rpb6 subunit of fission yeast RNA polymerase II is a contact target of the transcription elongation factor TFIIS"Molecular and Cellular Biology. 20. 1263-70 (2000)
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[Publications] Wada,T: "FACT relieves DSIF/NELF-mediated inhibition of transcriptional elongation and reveals functional differences between p-TEFb and TFIIH"Molecular Cell. 5. 1067-1072 (2000)