2000 Fiscal Year Annual Research Report
変異形p53発現細胞においてG1期異常を起こすヒトHLH型分化抑制因子Id-1H、Id-2Hの機能
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11680691
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Research Institution | Graduate School, Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
中島 琢磨 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (90256678)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土田 信夫 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (60089951)
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Keywords | Id / apoptosis / Adenovirus / E1A / p53 / cell cycle / transcription / interaction |
Research Abstract |
本年度までに、げっ歯類培養細胞系を用いて以下を報告した。(1)Id-1HとId-2H(Ids)の発現は、野生型p53存在下でアデノウイルスE1A誘導アポトーシスに影響しない。(2)Idsの共発現により変異型p53発現依存的にアポトーシス感受性が増加する。(3)Id-1HはId-2Hに対し変異型p53依存的アポトーシス感受性を約2倍増加する。(4)アポトーシス誘導に関与するのはId-1H(154アミノ酸(aa))、Id-2H(134aa)共にHLHを含む保存領域2-3(CR2-3、1H;31-108aa、2H;11-83aa)で、E1A(243aa)ではCR1を含む17-80aaとCR2(120-140aa)である。(5)IdsはそれぞれCR23でE1Aと結合する。E1Aは17-80aaでIdsと結合する。(6)IdsとE1A共存下でCycD1発現が強く抑制される。(7)IdsとE1A共発現下でS終期にDNA再複製開始が有意に増加する。 更に次の検討を行った。(a)IdsとE1Aによる変異型p53依存的アポトーシス講導に関与し、IdsやE1A、p53と結合する因子の検索。酵母Two-hybrid法で正常ヒト肝臓cDNAライブラリー(1x10^7クローン相当)とヒト培養細胞cDNAライブラリー(4x10^6クローン相当)を検索した。IdsをBaitとした時はIdsと普遍的bHLH型転写因子E2A遺伝子が重複して単離された。E1Aでは種々欠失変異体をBaitにしても酵母内の因子群との結合が強く、有意なクローンは得られなかった。温度感受性変異p53^<A138V>とp53^<S149P>をBaitとし、25℃(野生型)と37℃(変異型)の一方でのみ結合する因子を検索しcDNA9種を得たが全てORFが不当であった。(b)IdsやE1Aの高発現を誘導できるヒト培養細胞株の樹立。p53が野生型、変異型および欠失したヒト培養細胞株各2種にテトラサイクリン(Tet-Off型)またはエクジソン(IND)で誘導できるプロモーターを付加したIdsとMMTVプロモーター付加E1A12ScDNAを導入し、細胞株の樹立を試みた。それぞれ2〜3回遺伝子導入を試みたがIdsの発現を誘導できる細胞株の樹立に至っていない。他の遺伝子を導入した時に比べ、Idsを導入した場合に出現するコロニー数が1/10以下であった。導入直後Leakyに発現するIdsが被導入細胞を傷害すると推定した。導入方法、導入時のDNAの状態を変えて検討中である。
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