1999 Fiscal Year Annual Research Report
細胞周期における核構造のダイナミクスにおける核膜タンパク質の機能
Project/Area Number |
11680693
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
古川 和広 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40229109)
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Keywords | 核 / 核膜 / 核ラミナ / LAP2 / L2BP1 |
Research Abstract |
LAP2は真核生物に特徴的な核膜内の核脂質2重膜中に内在する膜タンパク質であり、細胞周期に対応したリン酸化の状態に依存して核ラミナの主成分であるBタイプラミンや染色体と結合することが明らかにされている。さらに細胞分裂終期に細胞内に分散したLAP2の染色体表面への移行がBタイプラミンの染色体への移行に先立ち起こることから、細胞周期に見られる核膜の再形成の初期の段階においてLAP2が重要な役割を荷っている可能性が推測されている。本研究においては核膜の崩壊・再形成の機構を分子レベルで明きらかにするため、このLAP2タンパク質と特異的に相互作用する細胞質因子の分離・同定を行こなった。LAP2をバイトとして用い、イーストの2ハイブッリドの系を利用しLAP2と相互作用する細胞質因子を検索した結果、89個のアミン酸から成る分子量およそ1万ダルトンのタンパク質L2BP1の分離に成功した。このL2BP1はDNA結合能を持つクロマチンや染色体上に局在する核タンパク質であり、これとLAP2との結合ドメインがLAP2の染色体結合ドメインと重複していることから、細胞分裂終期にLAP2を染色体表面に誘導するために重要な機能を持っていることが推測された。このタンパク質は現在哺乳類だけではなく線虫、ショウジョウバエおよびゼブラフィッシュなどの他の生物にも幅広く存在している普遍的タンパク質である事がデーターベースの解析より明らかとなっており、さらにLAP2の他にエメリンやマンなどの他の核膜タンパク質にもL2BP1の結合ドメインが良く保存されていることから、L2BP1はクロマチンや染色体の構造形成に関与する基本的なタンパク質であると共に、核膜の形成段階においても各種核膜タンパク質のリガンドとして機能する重要なタンパク質ではないかと考えており、これの機能解析を現在進展させている。
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