1999 Fiscal Year Annual Research Report
細胞基質接着部位局在タンパク質Hic-5が細胞老化と酸化ストレス応答で果たす役割
Project/Area Number |
11680704
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
石埜 正穂 札幌医科大学, 附属がん研究所, 講師 (30232325)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 輝捷 札幌医科大学, 附属がん研究所, 教授 (00045494)
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Keywords | 細胞内シグナル伝達 / チロシンリン酸化 / 細胞老化 / ストレス応答 / Hic-5 |
Research Abstract |
Hic-5は細胞の老化やストレスに応じて発現するタンパク質として報告されている。私達は以前、Hic-5の一次構造がpaxillinにているのみならず、Hic-5がpaxillinと同様、細胞基質接着部位(焦点接着)に局在することを見出した。ところがHic-5の一次構造上には、paxillinのCsk/Crk-SH2結合部位やSrc/Fyn-SH3結合部位に相当する配列が存在しない。そこで、Hic-5の細胞内シグナル伝達経路における機能を調べるため、細胞培養系を用いてHic-5のチロシン燐酸化の動態を観察した。Hic-5を内在性に発現しているWFB細胞においては、細胞の浸透圧刺激によってHic-5のチロシン燐酸化亢進を観察することができた。一方、Hic-5を内在性に発現していないCOS-7細胞にHic-5を発現させたところ、チロシン燐酸化を観察することができなかった。しかしHic-5と同時にCAKβあるいはFynを共発現させた場合には、浸透圧刺激依存にHic-5のチロシン燐酸化を観察することが出来た。この燐酸化はHic-5の第60番目のチロシンに生じていた。またin vitroの系で、このチロシン燐酸依存性にHic-5のCskのSH2ドメインへの結合が観察された。 これらの結果から、Hic-5がCAKβやFynの活性化に依存して燐酸化し、シグナルを下流に伝える役割を果たす可能性が示唆された。
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