2000 Fiscal Year Annual Research Report
新規frizzledタンパク質結合分子、fzip、の機能解析
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11680711
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Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
八尾 良司 (財)癌研究会, 癌研究所細胞生物部, 研究員 (80291095)
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Keywords | frizzled / ノックアウトマウス / 精子形成 / 先体 / ゴルジ体 |
Research Abstract |
我々が、新規frizzled結合タンパク質として同定したfzipは、455アミノ酸からなり、2つのcoiled-coil motifと1つのPDZ domainを有する。各種培養細胞において、fzipはゴルジ体に存在し、またfrizzledとの共発現などの一連の実験からfzipは、ゴルジ体からの物質輸送に関与していることが示唆された。マウスにおいて、fzipは普遍的に発現していたが、精巣で特に高い発現を観察した。興味深いことに、脳においては24bpの挿入によるスプライシングバリアントのみが発現していた。 fzipの生体内での機能を解析する目的で、fzipノックアウトマウスを作成した。F1のヘテロ接合体同士での掛け合わせでは、ほぼメンデル則に従いF2マウスが生まれ、fzip欠損マウスに特に顕著な異常は観察されなかった。しかし一連の交配実験により、fzip欠損マウスの雄は不妊であることが明らかとなった。精巣上体から得た精子の観察により明らかな頭部形態異常が認められ、さらに電子顕微鏡による詳細な観察から、先体形成不全、核の形態異常およびミトコンドリアの配列異常が明らかとなった。精巣の解析結果からは、先体形成不全はゴルジ体からの物質輸送障害によると考えられた。fzipの精巣における局在は、精母細胞では主に細胞質に、精子細胞ではゴルジ体と思われる核周囲の構造物への局在が観察された。これらの結果は、fzipが複数の分子のゴルジ体からの物質輸送に関与している可能性を示唆している。一方、細胞極性制御においてfrizzledの細胞内局在は重要であると考えられており、fzip-1欠損マウスにおけるfrizzledの局在には興味が持たれる。
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