1999 Fiscal Year Annual Research Report
運動機能発現と脳内物質の関与。基底核回路における抑制性ニューロンの役割
Project/Area Number |
11680735
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
中村 泰尚 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (70025625)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和泉 正英 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (70262186)
大竹 一嘉 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (10168966)
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Keywords | CaM-K Pase / CaM-K Pase phosphatase / 免疫組織化学 / 線条件コリン作動性介在ニューロン / 小脳ゴルジ細胞 / 長期増強 |
Research Abstract |
カルシウムを介した細胞内情報伝達に関与する、カルシュウム/カルモデユリン依存性蛋白燐酸化酵素(CaM-K)を脱燐酸化するCaM-K脱燐酸化酵素(CaM-K Pase)の抗体を入手したので、ラットを用いて中枢神経系内の分布を免疫組織化学的に検索した。CaM-K Paseは細胞質にのみ分布していた。脳や脊髄の分布は一様ではなく、反応が強かったのは、嗅球の僧帽細胞、大脳皮質第5層の錐体細胞、海馬体や線条体の介在ニューロン、淡蒼球、脚内核、黒質網様部のニューロン、脳神経核や脊髄前角の運動細胞などで、逆に海馬体アンモン角の錐体細胞、嗅球、歯状回、小脳の顆粒細胞、内側手網核ニューロン、プルキンエ細胞、下オリーブ核ニューロンなどは免疫反応が陰性であった。白質や脳神経根の軸索には免疫反応が見られた。また白質や血管周囲のアストロサイトも陽性反応を示した。電子顕微鏡観察によるとCaM-K Paseはシナプス後膜にも局在しており、CaM-K IIがこの部位で長期増強に関与するので、それを制御していることが示唆された。コリンアセチール転移酵素との二重免疫染色の結果、線条体のCaM-K Pase陽性ニューロンはコリン作動性介在ニューロンであることが判明した。小脳顆粒層に見られたCaM-K Pase陽性細胞はゴルジ細胞であり、同じく分子層に密に並んだ突起もゴルジ細胞の突起と考えられた。 CaM-K Paseが脱燐酸化するのは、CaM-K I、CaM-K II、CaM-K IVであるので、これら三種類の酵素の分布とCaM-K Paseの分布を比較した。その結果多くの領域で重なりあいがあり、脱燐酸化が効果的に行われることが推測できた。
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[Publications] Y, Nakamura, T. Kitani, S. Okuno, K. Otake, F. Sato, & H. Fujisawa: "Immunohistochemical study of the distribution of Ca^<2+>/calmodulin-dependent protein kinase phosphatase in the rat central nervous system:"Molecular Brain Research. (in press). (2000)