1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11680737
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
鳥越 甲順 福井医科大学, 医学部, 助教授 (50126603)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永野 隆 福井医科大学, 医学部, 助手 (70272854)
佐藤 真 福井医科大学, 医学部, 教授 (10222019)
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Keywords | 神経再生 / 中枢神経系 / グリア / フィルムモデル / 抑制機構 / 神経細胞 / 細胞内代謝 / 重複障害効果 |
Research Abstract |
視神経を切断しその両端を縫合すると、網膜側の神経端から再生神経が発芽し伸長する。しかし、再生神経は切断遠位の神経(遠位視神経)内へ進むと伸長が妨げられる。遠位視神経内のグリアが再生を抑制している主因であり、おそらく中枢性グリアは末梢神経の再生を抑制することも可能であろう。この仮説に基づいて、末梢神経の再生を介して中枢神経の再生抑制機構の解明を試みた。1、変性視神経断片の作製。マウス視神経の断片を採取し、2枚のフィルムに挟みリンガー液を滴下し、それを膝部に3、7、10、14日間各々温存した。温存後7日目には、軸索の断裂変性像が認められた。10日目には軸索は完全に消失し、中枢性グリアが増殖していた。2、変性視神経断片による末梢神経の再生抑制。マウス総腓骨神経を切断し、切断近位側の神経本幹のみをフィルムに結紮固定し、同時に上記の各時期の変性視神経断片を向かい合わせ、そのまま4日間生体内に温存した。対照群(切断近位神経のみをフィルム上に結紮固定したもの)と生体内に3ないし7日間温存した変性視神経を用いた場合、再生神経は約500μm伸びた。それに対して、生体内に10ないし14日間温存した変性視神経の場合は、再生神経の伸長も発芽像すらも検鏡されなかった。末梢神経の再生は末梢性遠位神経と同様、変性視神経によっても抑制されるものである。3、再生抑制は中枢性反応か。神経に2度傷害すると単独傷害に比べて再生神経の伸長程度は格段に大きくなる。この重複傷害効果の程度を調べると、神経細胞内の代謝亢進の状態を推測することが出来る。最初の傷害時に変性視神経を神経の本幹に向かい合わせた。3日後に2度目の切断をし再生神経の伸長を測定した。すると、変性視神経の再生抑制は神経細胞内の代謝を介さないこと、すなわち、神経再生能に影響を及ぼさず、成長円錐付近で行われる局所反応であることが判明した。
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