2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11680748
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
石塚 典生 財団法人 東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (90126201)
|
Keywords | 嗅内野 / 海馬台 / 前海馬台 / 傍海馬台 / 脳梁後部皮質 / 記憶回路 / ラット / CA1 |
Research Abstract |
記憶情報は海馬体で処理されたのち複数の投射路によって嗅内野へ帰還する。この帰還回路は、皮質性の回路と視床核群を介する皮質下の回路に大別され、皮質性投射路には、CA1・海馬台から直接嗅内野へ投射する直接投射路と、海馬台から起こり前海馬台、傍海馬台、顆粒性脳梁後部皮質を介して嗅内野へ終止する間接投射路がある。本年度は、ラット海馬体から嗅内野への皮質性投射路の結合様式について、WGA-HRPおよびPHA-L標識法を用いて、解剖学的に解析した。 1)嗅内野での終止層は、直接投射路は深層(V-VI層)に終止し、間接投射路は浅層(II-III層)に終止した。特に、CA1からは主にVI層、海馬台からはV層に終止する。前海馬台を経由する間接投射路の終止層は主にIII層、傍海馬台を介する投射路はII層に終止し、顆粒性脳梁後部皮質を介する投射路は主にV層に終止していた。それぞれの投射路よって嗅内野内の終止層が異なることがわかった。 2)直接・間接投射路に共通して、皮質性投射路の嗅内野終止域は嗅脳溝に平行な帯状をなし、中隔側頭葉軸の高さに応じて終止帯が異なる。中隔側の部分は嗅脳溝に近い帯状領域へ、側頭葉側の部分は嗅脳溝から遠い帯状領域に終止した。さらにその帯状領域内には、各起始皮質領域内の横断軸上の近位ム遠位に応じた局在投射が認められた。 3)海馬体から間接投射路に関与する皮質領域への投射は、専ら海馬台から起こり、CA1やCA3からの投射は見られなかった。これらの起始細胞の位置は、海馬台錐体細胞層の中で、乳頭体内側核に下行性投射する細胞群と同じあった。これら複数の皮質性投射路の起始細胞が海馬台錐体細胞層の中でどのように分布しているの、分離しているのかあるいは複数の同時投射があるのかについて、今後解析する必要がある。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] ISHIZUKA,Norio: "Laminar organization of the pyramidal cell layer of the subiculum in the rat"J.Comp.Neurol. (in press). (2001)
-
[Publications] 本多祥子: "海馬体から嗅内野への出力路"神経研究の進歩. 45巻2号(印刷中). (2001)
-
[Publications] HONDA,Yoshiko: "Topographic projections of perforant path from entorhinal areas to CA1 and subiculum in the rat."Neuroscience Research. Suppl.24. S101 (2000)
-
[Publications] 石塚典生: "海馬体から嗅内野への皮質性投射路"東京都神経科学総合研究所年報. 28. 95-97 (2000)