神経細胞の発生過程における細胞極性の連続性

2000 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 11680750
• Research Institution: Gunma University
• Principal Investigator: 林 謙介 群馬大学, 生体調節研究所, 助教授 (50218567)
• Keywords: 神経細胞 / 細胞極性 / 細胞遊走 / 突起形成 / 大脳皮質 / タイムラプス

Research Abstract

神経細胞はその発生過程において様々な様式の細胞極性(神経上皮、非対称分裂、遊走、突起の極性化)を顕わすので、極性形成を研究するうえで特に興味深い材料である。本研究は神経細胞の発生過程で順々に現れる様々な形式の極性が、どのような連続性を持ちながら現れてくるのかを様々な角度から連続的に観察することによって、神経細胞の極性形成の全貌を明らかにすることを目標としておこなわれた。2年目の本年度は、神経細胞の発生過程における細胞移動に焦点をあてて解析した。
近年、大脳皮質内の抑制性ニューロンは線条体原基からから移動してくることが明らかになっている。我々はインビトロにおいて、抑制性ニューロンの移動をタイムラプスで観察した。
1、胎仔ラット大脳皮質の神経細胞をアストログリア細胞のシートの上に培養すると、移動する細胞と移動しない細胞が見られた。移動する細胞は全てGABA陽性であり、GABA陽性細胞のほとんどが移動していた。
2、移動する細胞は移動の先端に成長円錐を持ち、1週間の培養の間、自発的な移動逆転をおこしながら常に方向性を持った行動をとっていた。
3、成長円錐が他の細胞の突起をくぐり、細胞核はそれをくぐれない場合、細胞核を除く他の細胞質成分が成長円錐に向かって流動した。
以上の観察から、均一な環境であるインビトロにおいても抑制性ニューロンは興奮性ニューロンとは異なる行動様式を持つことが明らかとなり、また、その細胞移動の原動力は成長円錐へ向かう細胞質の流動であることが示唆された。

Research Products

• [Publications] Cheng, X-T: "Non muscle mycsin II B-like immunoreactivity is present at the drebrin-binding cytoskeleton in nearons."Neuroscience Research. 36. 167-173 (2000)
• [Publications] 林謙介: "「神経細胞の発生過程における細胞極性」ブレインサイエンスレビュー"医学書院(未定). (2001)