2000 Fiscal Year Annual Research Report
活性化プロテインキナーゼCによる伝達物質放出増強の分子機構
Project/Area Number |
11680762
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
今泉 美佳 杏林大学, 医学部, 助手 (40201941)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹川 展幸 上智大学, 理工学部, 助教授 (20187107)
熊倉 鴻之助 上智大学, 理工学部, 教授 (70129790)
永松 信哉 杏林大学, 医学部, 教授 (80231489)
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Keywords | 伝達物質放出 / 開口放出 / プロテインキナーゼ C / RACK1 / クロマフィン細胞 / F-アクチン |
Research Abstract |
前年度までの高透過性クロマフィン細胞を主に用いた研究により、活性化プロテインキナーゼC(PKC)はRACK1を介したF-actinへの結合により、開口放出のプライミング過程を増強していることが明らかとなった。この開口放出のプライミング過程は高透過性細胞からの分泌の上で測定解析される機構であり、これが実際の顆粒の動態とどのように対応し、正常細胞からの生理的な開口放出にどのように対応するかは不明である。今年度は、生理的な開口放出におけるプライミング過程の意義を明確にする目的で、共焦点レーザー蛍光顕微鏡および冷却型CCDカメラシステムを用いて、蛍光ラベルにより可視化した分泌顆粒の動態の実画像解析を行い、PKCおよびF-actinの関与を検討した。 1.高カリウム及びアセチルコリン刺激開始直後の分泌顆粒の運動解析では、顆粒の移動速度および移動距離に対してPKC活性化剤TPAおよびF-actin阻害剤の影響は観察されなかった。 2.刺激後、normal bufferへ置換した直後の顆粒の運動解析では、移動速度が0.4μm/s以上の顆粒が全顆粒のうち約25%あり、始点からの移動速度も長かった。 TPA処理によりPKCを活性化させた細胞ではこれら速い移動速度をもつ顆粒の割合が濃度依存性に増大し、一方、F-actin阻害した細胞では濃度依存性に減少した。 3.これらの結果より、速い移動速度を示す顆粒はPKCおよびF-actinの関与によって放出部位へ移動、供給されていることが示唆された。また、プライミング過程とは、分泌応答持続また繰り返し応答するために分泌顆粒を放出部位へ移動、供給、準備する過程であることが示唆された。 4.分泌機能の生化学的な解析結果と可視化による顆粒動態の解析結果が一致した結果となった。分泌機能と顆粒動態を平行して解析することが開口分泌機構の解明に有効と考えられる。
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