1999 Fiscal Year Annual Research Report
5-HT神経ネットワーク形成異常とストレス作用-母体ラットへの騒音ストレスの性に依存した影響の解析-
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11680769
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
西尾 廣昭 福山大学, 薬学部, 教授 (30034036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 智子 , 助手 (30299309)
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Keywords | 騒音ストレス / 新生児ラット / 情動行動 / 学習獲得能 / 性差 |
Research Abstract |
妊娠ラットへの騒音ストレスが、新生児における情動行動および学習獲得行動に対して雌雄差を伴う影響を及ぼしている可能性について検討した。【実験方法】妊娠ラットは以下のように3群に分けて処置を行った。(1)(SS群)妊娠10日目より19日目まで騒音ストレスを1分間提示したのち、強制水泳ストレスを負荷した。(2)(NN群)対照群としての無処置群。(3)(SN群)騒音ストレスのみ提示した。各群(SS群、SN群、NN群)からの出生児について雌雄別にわけ、生後4週目に情動行動学指標として騒音ストレス提示に伴う自発運動量変化、さらに各群からの生後6週目の出生児について学習行動学的指標としてWater-finding学習能を評価した。【実験結果】1)新生児の体重:誕生後1,3,4および6週目の雌雄新生児の体重増加について検討したが、雌雄とも体重増加には差異はなかった。2)新生児の情動行動:雌雄新生児ともNN群では騒音ストレス提示に伴い大きな自発運動量の低下が認められた。SN群およびSS群ではNN群に比較して自発運動量は増加した。3)新生児の学習行動:SS群の母体から生まれた新生児において吸水時間の短縮、すなわち潜在学習能力の増大している傾向が認められた。この傾向は、雌新生児よりも雄新生児においてより顕著に認められた。【考察】妊娠中のラット母体に対するストレス性刺激は、それらからの新生児の発育過程における情動反応および潜在学習反応に影響を及ぼしている可能性が明らかとなった。これらストレスの影響に関して、新生児の雌雄間において若干の違いが認められた。すなわち、雄新生児は雌よりも感受性が高かった。また、ストレスの影響に関して、潜在学習能の増大傾向という予想とは逆の反応が認められた。この点に関しては、学習能評価方法の再評価を含めて、今後さらに検討する必要があるものと思われる。
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