1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11680778
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
福土 審 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80199249)
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Keywords | 脳腸相関 / ヒスタミン / 神経伝達物質 / PET / 過敏性腸症候群 / 脳波 / 大脳誘発電位 / 大腸運動 |
Research Abstract |
本研究の目的は消化管刺激により脳の特定部位で神経伝達物質、特にヒスタミンが放出され、中枢機能を変化させるという仮説を検証し、脳腸相関の物質的基盤を解明することである。健常者の下行結腸に大腸拡張刺激を加え、選択的ヒスタミンH_1受容体拮抗薬^<11>C-doxepinを経静脈的に投与し、positron emission tomography(PET)を行った。刺激下の脳PET画像では内因性ヒスタミンが遊離し、リガンドの結合能が低下した。三次元画像を構成すると前帯状回においてリガンドの結合能低下が認められた。また、臨床的に脳腸相関の異常が想定されていた過敏性腸症候群(IBS)患者において、ストレス・薬物刺激下の脳波ならびに大腸運動を測定し、高頻度脳波波形異常、脳波周波数分布の変化、大腸運動亢進を見い出した。消化管電気刺激に対する大脳誘発電位のヒトにおける導出に成功し、IBS類縁疾患において、大脳誘発電位の異常所見を得た。更に、ラットで脳マイクロダイアリシスを行い、大腸刺激ストレスによる、海馬での神経伝達物質の遊離を確認した。ストレスにより、海馬を中心として熱ショック蛋白質HSC70の遺伝子発現が生じることもラットで見出した。大腸拡張刺激によりヒト脳内で内因性ヒスタミンが遊離すること、およびその反応は前帯状回で強いことが明らかにされた。消化管刺激による脳内ヒスタミン放出は情動形成と覚醒に関与する可能性がある。前帯状回は脳内で疼痛の弁別を最終決定する部位として注目を集めている。IBSとその類縁疾患の脳波異常・誘発電位異常は、消化管運動異常による神経伝達の変化を示唆している。動物においては神経伝達の変化が分子シャペロンの誘導をも招くと考えられる。以上、平成11年度研究費により、ヒトと動物の脳腸相関を解明する方法論を確立し、今後のさらなる研究の基盤を形成する成果を得た。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Fukudo, S.et al.: "Psychophysiological stress induces heat shock cognate protein 70 messenger RNA in the hippocampus of rats"Neuroscience. 91. 1205-1208 (1999)
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[Publications] Nomura, T.et al.: "Abnormal electroencephalogram in irritable bowel syndrome"Scandinavian Journal of Gastroenterology. 34. 478-484 (1999)
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[Publications] Kanazawa, M.et al.: "Abnormal visceral perception patients with functional dyspepsia : use of cerebral potentials evoked by electrical stimulation of the oesophagus"Neurogastroenterology and Motility. (印刷中).
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[Publications] Fukudo, S.et al.: "Exaggerated motility of descending colon with repetitive distention of sigmoid colon in patients with irritable bowel syndrome"Gastroenterology. 116. A995 (1999)
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[Publications] Fukudo, S.et al.: "Positron emission tomography proved histamine release in the human brain in visceral perception and emotion"Psychosomatic Medicine. 61. 120-121 (1999)
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[Publications] Endo, Y.et al.: "Demographic and psychosocial analysis of irritable bowel syndrome in Japan : Use of Internet in studying functional gastrointestinal disorders"Gastroenterology. 116. A989 (1999)
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[Publications] 福土 審: "ストレスと遺伝子発現.(河野友信、石川俊男編:ストレス研究の基盤と臨床)"河野友信、石川俊男、至文堂、東京. 278(114-124) (1999)
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[Publications] 福土 審、他: "消化管機能検査.(佐々木大輔編:ストレスと消化管疾患)"佐々木大輔、医薬ジャーナル社、東京. 295(227-237) (1999)