1999 Fiscal Year Annual Research Report
「刷り込み」記憶の脳内転座と大脳基底核・黒質ドーパミン系
Project/Area Number |
11680785
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松島 俊也 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (40190459)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 順平 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (30048467)
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Keywords | 脳 / 行動 / 記憶 / インプリンティング / 基底核 / シナプス / 長期増強 / 鳥 |
Research Abstract |
刷り込み記憶の脳内転座の機構を明らかにするために、以下の解析を行った。 (1)大脳基底核における報酬・報酬予期・覚醒水準および運動司令の表現に関する神経生理学的解析 大脳基底核(LPO領域:哺乳類の被核・尾状核に相同)を破壊すると、雛鳥の回避学習の長期相のみが選択的に阻害されることが知られている。自由行動下にて回避学習課題および水報酬による強化学習課題を遂行時の雛鳥のLPO領域より、慢性植え込み多電極により単一ニューロン活動を記録した。その結果、水報酬が与えられ直後に特異的活動を示すニューロン、水報酬が予期される視覚的手がかりに対して特異的活動を示すニューロン、など報酬に関わるニューロンが見いだされた。さらに、全体的な覚醒水準と相関して自発発火頻度を数分〜数十分の時定数で変化させるニューロン、頭部・頸部の運動及び歩行運動の開始に先行して特徴的活動を示すニューロン、啄み行動のno-go司令をコードするニューロンなどが見いだされた。LPO領域は、覚醒水準に基づき外部事象を行動出力に結びつける場であることが示唆された。 (2)大脳基底核におけるシナプス長期増強の機序に関する神経生理学的解析 我々は既に基底核のスライス標本において、DNQX一感受性の興奮性シナプス応答が、dopamineD1受容体の活性化の元で長期増強を示すことを見いだした。長期増強はさらにシナプス入力の空間的・時間的同期を要求するが、同期の機序は不明であった。そこでLYによる細胞内染色をスライス・パッチ法と組み合わせ同定ニューロンの発火特性を解析したところ、spiny projection neuronおよびaspiny local interneuronにおいて、シナプス性興奮に続くプラトー電位(持続:0.3ないし数秒)が観察された。この電位はAP5の投与に依り可逆的に抑制され、NMDA受容体の活性化の結果生じる負の膜抵抗によることが示された。このプラトー電位の発声条件は、長期増強に必要なシナプス入力の空間的・時間的同期と一致する。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Dicke,U.,Roth,G.,and Matsushima,T.: "Neural substrate for motor control of feeding in Amphibians"Acta Anatomica. 163. 127-143 (1999)
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[Publications] Matsuura,A.,Ohno,T.,Matsushima,T.,Namikawa,T.,and Ishikawa,A.: "Delayed development of reflexes and hyperactive locomotion in the spontaneous mutant "Waltzing"of the musk shrew,Suncus murinus."Experimental Animal. 48. 191-197 (1999)
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[Publications] Yazaki,Y.,Matsushima,T.,and Aoki,K.: "Testosterone modulates stimulation-induced calling behavior in Japanese quails."Journal of Comparative Physiology A. 184. 13-19 (1999)
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[Publications] Ishikawa,Y.,Koga,K.,and Matsushima T.: "Slowly developing potentiation in goldfish retino-tectal synapses is masked by prior stimulation;an in vitro study."Comparative Biochemistry and Physiology A. 124. 81-88 (1999)
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[Publications] 松島俊也: "心とは何か:雛鳥の学習の記銘内容と神経機構"日本比較内分泌学会ニュースレター. 83. 13-19 (1999)
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[Publications] Yanagihara,S.,Izawa,E.,and Matsushima,T.: "Single unit activity in lobus parolfactorius(LPO:basal ganglia)of freely-behaving2-day old domestic chicks during and immediately after one-trial passive avoidance training."Society for Neuroscience(Abstract). 25. 2158 (1999)