2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11680786
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
辰巳 仁史 名古屋大学, 医学部, 助教授 (20171720)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曽我部 正博 名古屋大学, 医学部, 教授 (10093428)
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Keywords | シナプトタグミン / GFP / 近接場光 / エバネセント光 / ベシクル融合 / ライブイメージング / イメージング / 光計測 |
Research Abstract |
生きて活動する神経細胞の中で働く分子あるいは、細胞内小器官の振る舞いをありのままに観察することは研究者の夢である。しかし、生体機能高分子は光の波長にくらべて小さいために、生きた細胞の中の分子あるいは分子の集団の観察は困難であった。本研究では、従来の光とは異なった新しいタイプの光(近接場光)を細胞の中の分子の観察に用いる。近接場光を用いることで、生きた細胞の中で働く分子あるいは分子の集団のダイナミックな変化を観察し、シナプス伝達に関わる蛋白質分子シナプトタグミンの機能を研究する。 この研究では、エバネセント光を蛍光物質の励起光として用いる。このエバネセント光によって観察する対象として、蛍光を発するアミノ酸配列(GFP)を付加したシナプトタグミンを用いる。この蛍光ラベル蛋白質分子(シナプトタグミン)を細胞内で機能する"生きた状態"で近接場光で観察することができた。 培養細胞PC12で発現した蛍光シナプトタグミンを、生きた細胞の中で、全反射型近接場光顕微鏡で観察ができることを示すことができた。すなわち、青色のエバネセント光(厚さ200nm)で細胞内の極めて限局した蛍光シナプトタグミンを励起し蛍光観察可能であった。、この蛍光映像の動的変化を詳細に画像処理し、細胞内での生体機能分子の振る舞いを明らかにした。またカルシウムイオンを細胞に導入するような刺激をおこなうと、カルシウムイオンによる蛍光シナプトタグミンの蛍光の明るさが変化した。この分子構造変化は、細胞膜あるいは、シナプトタグミン結合蛋白質分子との相互作用によるものと推定された。これによって、近接場光による生体中の分子の化学反応の制御とその結果の観察と機能の分析を行う実験系を確立することができた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Tatsumi,H.,Katayama.,Y and Sokabe,M: "Attachment of growth cone on substrate observed by multi-mode light Microscope."Neuroscience Research. 35. 197-206 (1999)
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[Publications] Tatsumi,H.,Katayama.,Y: "Growth cones exhibit enhaced cell-cell adhesion after neurotransmitter release."Neuroscience. 99. 855-865 (1999)
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[Publications] 辰巳仁史: "エバネセント近接場顕微鏡"Clinical Neuroscience. (1999)
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[Publications] Imai,K Tatsumi,H.,Katayama.,Y: "Mechanosesnsitive chloride channels on the growth cones of the cultured Rat dorsal root ganglion cells."Neuroscience. 97. 347-355 (2000)
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[Publications] 曽我部正博,成瀬恵治,河上敬介,辰巳仁史: "機会刺激による細胞のリモデリング:SAチャネルと接着蛋白質チロシンリン酸化"生体の科学. 51. 549-555 (2000)
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[Publications] 辰巳仁史: "近接場顕微鏡「生命科学を拓く新しい光技術」分担"共立出版. (1999)
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[Publications] Tatsumi,H., et al.: "Near field microscopy for biomolecular systems"Springer 分担(出版予定). (2001)