2000 Fiscal Year Annual Research Report
ニューロンで発現するギャップ結合チャネル蛋白質の解析と細胞内調節機構
Project/Area Number |
11680794
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
宮地 栄一 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (90129685)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 理充 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (30278303)
日高 聡 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (00228735)
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Keywords | 網膜 / 脳 / ギャップ結合 / 細胞間コミュニケーション / コネキシン・ファミリー / コネキシン36 / RT-PCR / Western blot |
Research Abstract |
本研究では、電気シナプスすなわちギャップ結合を構成するチャネル蛋白質サブユニットであるコネキシンの発現と局在を哺乳類の網膜及び脳組織で解析した。Condorelli等(1998)によって報告されたコネキシンのcDNAの一部をプライマーとして、Wister系ラット網膜組織からのmRNAをRT-PCR法で解析し、コネキシン36遺伝子をクローニングし、321個のアミノ酸配列を決定して蛋白構造を推定した。コネキシン36を発現する細胞種を同定するために、コネキシン36のアミノ酸配列の細胞内ループの一部を合成して、これを抗原としてウサギから抗血清を得、合成ペプチドを用いてアフィニテイー純化抗体を作製した。Western blot法では、抗コネキシン36抗体は成体動物の網膜、嗅球、海馬、大脳新皮質、小脳、延髄及び脊髄組織からの蛋白ホモゲネイトにおいて36kDa蛋白のみを特異的に認識した。免疫組織化学法では、コネキシン36の免疫陽性反応は斑点状のスポット像と細胞内染色像が認められた。成熟な網膜では、アマクリン細胞と神経節細胞の細胞体と樹状突起が免疫陽性であり、内網状層の中枢側(ON層)に非常に多くの班点状の陽性スポット像が観察された。成熟な脳組織では、海馬及び新皮質の非錐体細胞、嗅球の僧帽細胞と顆粒細胞の細胞体と樹状突起が免疫陽性であったが、斑点状の陽性スポットは網膜内網状層のものに比べて粗に分布していた。コネキシン36のmRNAの転写解析及び蛋白量発現のWestern blot法解析で、網膜では発生過程及び成熟な動物の両方で高い活性が認められた。大脳新皮質では、生後10日頃までは非常に高い活性が認められたが、成熟脳では低くなっていることがわかった。以上の結果から、コネキシン36は網膜及び脳組織の発生過程において神経回路網形成に関係し、成熟な網膜では電気シナプスによる視覚情報処理過程にとって重要であり、また成熟な脳組織では部位に特有な神経機能に関係していると考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] F.Kawai and E.-I. Miyachi: "Odorants suppress voltage-gated currents in retinal horizontal cells in goldfish."Neuroscience Letters. 281(2-3). 151-154 (2000)
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[Publications] F.Kawai and E.-I. Miyachi: "Direct suppression by odorants of cyclic nucleotide-gated currents in the newt photoreceptors."Brain Research. 876. 180-184 (2000)