2000 Fiscal Year Annual Research Report
誘導型CRE調節タンパク質ICERの神経可塑性および学習・記憶における役割
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11680797
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Research Institution | THE INSTITUTE OF PHYSICAL AND CHEMICAL RESEARCH |
Principal Investigator |
児島 伸彦 理化学研究所, 情動機構研究チーム, 研究員 (80215251)
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Keywords | 転写調節因子 / mRNA / 神経可塑性 / キンドリング / 恐怖条件づけ / 扁桃体 / PC12細胞 / DNAチップ |
Research Abstract |
(1)恐怖条件づけにおける扁桃体でのICER(inducible cAMP early repressor)発現変化。昨年度はキンドリング刺激後のICER mRNAの発現変化を調べ、ICER mRNAが電気刺激による神経活動の賦活によって脳で一過性に増加することがわかった。今年度は学習行動時におけるICER mRNAの動態を調べた。その結果、ICER mRNAはc-fosと同様に恐怖条件づけ後の扁桃体で増加することがわかった。また、この発現増加は条件づけ後の条件刺激の再提示によっても観察された。したがって、ICERは条件づけや条件反応後、扁桃体の神経活動の賦活に伴って増加すると考えられた。ICERは負の転写調節因子であると考えられているので、神経活動によって発現誘導される他の最初期遺伝子の転写抑制因子として働いている可能性がある。 (2)PC12細胞におけるICERの強制発現。テトラサイクリン制御下でICER-IIを高レベルに発現するPC12細胞を作成した。その細胞にNGFやジブチリルcAMPを投与してその後の突起伸長に影響あるかどうかを調べたが差異は見い出されなかった。したがってin vitroで提唱されているICERのCREBアンタゴニストとしての作用は、細胞内では他の転写因子により代償されている可能性が考えられる。 (3)恐怖条件づけにおける扁桃体での遺伝子発現変化。ICERはCREBの活性化によって発現増加する。CREBの活性化はCRE配列をその転写調節部位に持つ多くの遺伝子の発現を誘導するので、条件づけによって扁桃体でICERが増加することは、条件づけによって他の様々な遺伝子の転写がダイナミックに調節されている可能性がある。そのような遺伝子産物をDNAチップによって系統的に探索し、複数種の遺伝子が条件づけ後の扁桃体で増加することを見い出した。
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