2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11680800
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
小河原 緑 (財)東京都老人総合研究所, 分子遺伝学部門, 研究助手 (60100111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白澤 卓二 (財)東京都老人総合研究所, 分子遺伝学部門, 室長 (80226323)
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Keywords | 神経変性 / 遺伝子治療 / イソアスパラギン酸 / イソアスパラギン酸メチル転移酵素 / ノックアウトマウス / トランスジェニックマウス / アデノウイルス / アルツハイマー病 |
Research Abstract |
アルツハイマー病(AD)は原因不明の神経変性疾患で老人性痴呆の中で最も高い頻度を示し、その治療法も確立していない。我々はADの神経変性および神経細胞死に焦点をあて、神経細胞変性に伴う分子異常を検索している。その過程でADの変性神経細胞でイソアスパラギン酸メチル転移酵素(PIMT)の発現が亢進していることを見い出した。そこで、PIMTを標的遺伝子組み換え法によりノックアウトし、イソアスパラギン酸残基含有変性蛋白質の蓄積が人為的に亢進する神経変性モデルマウス(PIMT欠損マウス)を作製した。このモデルに対する遺伝子治療をトランスジェニックマウスとの交配およびアデノウイルスを用いて検討した。プリオンプロモーター下流にPIMT遺伝子を融合し、トランスジーンコンストラクトを作製した。コンストラクトをマウスの受精卵に注入し、神経系で安定にPIMTを発現するトランスジェニックマウスを確立した。PIMT欠損ヘテロマウスと交配し、その子孫同士を交配することでPIMT欠損マウスの神経症状のレスキューを調べた。その結果、生後12週で100%死亡する欠損マウスを完全にレスキューし、生育の遅延も完全に回復した。さらに欠損マウスの神経症状の改善も認められた。 アデノウイルスベクターにマウスPIMT遺伝子を組換え、リコンビナントウイルスを作製した。胎生15日の胎児脳室にEx-Utero法を用いてリコンビナントウイルスを注入し、欠損マウスの生育を観察した。その結果、欠損マウスの致死性痙攣発作を改善し、延命効果が認められた。アデノウイルスを用いた神経変性疾患への遺伝子治療へのプロトコールが確立できた。
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Research Products
(1 results)