2000 Fiscal Year Annual Research Report
橋排尿中枢脊髄投射ニューロンの脊髄内分枝様式およびその機能的役割の解明
Project/Area Number |
11680810
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
佐々木 光美 東京医科大学, 医学部, 助教授 (10170698)
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Keywords | 膀胱 / 排尿 / 橋排尿中枢 / ニューロン / 橋 / 仙髄 |
Research Abstract |
クロラロース麻酔あるいは除脳ネコの橋排尿中枢ニューロンの発火様式を調べた。解析したニューロンは全て(n=40)仙髄に軸索を投射する最終出力ニューロンであることを逆行性刺激法により同定した。記録したユニットは、前年度の結果と同様三叉神経中脳路の内側および腹側に分布していた。橋排尿中枢仙髄投射ニューロンには膀胱弛緩期から収縮期にかけて徐々に発火頻度が増大するもの(tonic1タイプ)、発火頻度が一定のもの(tonic2タイプ)、弛緩期に殆ど発火せず、排尿収縮直前から増大するもの(dynamic タイプ)、および排尿収縮に先行する時のみ発火するもの(burstタイプ)があった。排尿収縮開始と発火活動の関係についてみると、排尿収縮に先行するものはburstタイプおよびdynamicタイプ、遅れるものはtonicタイプに多くみられた。排尿収縮期に発火が一定であるか、あるいは減少するかについてみると、dynamicタイプでは大部分が減少するのに対して、tonicタイプでは一定の発火頻度を示すものが多かった。収縮が持続しているときに発火が減少するのは、言い換えると圧上昇期に発火頻度が最大になり、一定の圧に達すると発火活動がそれほど強力ではなくなることを意味する。このdynamicタイプが排尿収縮に先行するものが多いことと合わせて、排尿開始および圧の上昇に密接に関連しているものと考えられた。一方、収縮期に一定になるニューロンは、排尿開始に遅れて発火が増大する傾向にあった。これらは、膀胱求心性神経からのpositive feedbackにより発火を増大させ、高い膀胱内圧を維持するのに関係しているのではないかと考えられた。なお、全てのタイプで弛緩開始に遅れて発火が減少し始めたが、このことは橋排尿中枢仙髄投射ニューロンは膀胱弛緩の開始を決定していないことを示唆した。
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