2001 Fiscal Year Annual Research Report
マウス大脳皮質視覚野におけるシナプス可塑性レベルの解析と可塑性関連遺伝子の探索
Project/Area Number |
11680814
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
俣賀 宣子 理化学研究所, 神経回路発達研究チーム, 専門職研究員 (20209464)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
槌本 佳子 理化学研究所, 神経回路発達研究チーム, テクニカルスタッフ(研究職)
MICHELA Fagiolini 理化学研究所, 神経回路発達研究チーム, 研究員
HENSCH Takao 理化学研究所, 神経回路発達研究チーム, チームリーダー(研究職) (60300878)
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Keywords | パルブアルブミン / プラスミノーゲンアクチベーター / 感受性期 / 単眼遮蔽 / 暗闇飼育 / 眼優位可塑性 / 第一次視覚野 / 遺伝子欠失変異マウス |
Research Abstract |
1.VCのシナプス可塑性誘導、制御および調節に関与する因子の探索 昨年より、単眼遮蔽をした感受性期内の野生型(WT)と可塑性レベルがWTに比べ有意に低下しているtPA遺伝子欠失変異マウス(tPAKO)の第一次視覚野(VC)両眼性領域(BZ)を用い、二次元電気泳動により可塑性に関与している可能性の高いタンパク群の解析を行ってきた.その結果、単眼遮蔽後のWTとtPA KOのBZにおいて明らかにパターンの異なるスポットを見いだした.質量解析の結果、この蛋白はアネキシンIVであることが明らかとなった.残念ながら本研究は最終年度を迎えたが、今後もこの蛋白が視覚野可塑性に関与するか否か検討を続けていきたい. 2.抑制性神経回路網から見た暗闇飼育動物の可塑性レベルについて 本年度は、免疫組織化学法を用いVCの抑制性ニューロンの生後発達についてWTと暗闇飼育(DR)したものを比較検討した.抑制性ニューロンはカルシウム結合タンパクであるパルブアルブミン(PV)、カルバインディン、カルレチニンを用いてサブタイプに分けた.その結果、PV陽性細胞の発達変化と可塑性レベルに相関がある可能性が示唆された.すなわち、BZにおけるPV陽性細胞数は開眼前には殆ど認められず感受性期に伴って増加し、成熟までそのレベルを保った.しかし、DR群は感受性期までは発達するもののそのレベルを成熟まで維持できなかった.昨年までの電気生理実験からDRの感受性期はネコやラット同様遅延しており、成熟後のDRマウスを数日間視体験をさせることでBZにおいて単眼遮蔽の効果が認められることが確認されている.今回、PV陽性細胞数もDR後1日〜2週間の明暗飼育により感受性期のレベルに達することが明らかとなった.本研究は、マウスの第一次視覚野におけるDR効果を種々の側面から明らかにした初めての報告である.
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[Publications] Mataga, N., Fujishima, S., Condie, B.G., Hensch, T.: "Experience-dependent plasticity of mouse visual cortex in the absence of the neuronal activity-dependent marker egr1/zif268"Journal of Neuroscience. 21・24. 9724-9732 (2001)
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[Publications] Mataga, N., Fujishima, S., Nagai, N., Hensch, T.K: "Physiological tissue-type plasminogen activator levels for experience-dependent plasticity in visual cortex"Society for Neuroscience. B25 (2001)