2000 Fiscal Year Annual Research Report
マウスにおけるパスツレラ症の診断および菌の病原性に関する研究
Project/Area Number |
11680826
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
川本 英一 東京医科大学, 医学部, 講師 (20074718)
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Keywords | Pasteurella pneumotropica / マウス / 感染症 / 診断 / 病原性 |
Research Abstract |
本研究は、マウスのパスツレラ症の診断方法を確立するとともに、Pasteurella pneumotropicaのマウスに対する病因的意義を明らかにすることを目的としている。本症の診断方法確立のための研究の一環として、昨年度に行われた本菌の輸送培地についての検討の結果、キャリブレアー培地、L-15培地およびリン酸培地が有用であることが示唆された。今年度は、さらに詳細な検討を加えたところ、本菌の輸送培地としてL-15培地が最適であることが明らかとなった。すなわち、用いたATCCマウス株、マウス分離株およびラット分離株のいずれの株においても、保存開始から7日間経過しても10^5から10^6個の菌数が本培地において維持されており、菌数の低下はほとんど認められなかった。次に、本菌の諸性状とマウスに対する病原性との関係を検討するために、前述した3株の菌の電子顕微鏡観察を実施した。その結果、いずれの菌もグラム陰性菌に特有の構造を有していたが、マウス由来株とラット由来株では形態に違いが認められた。マウス由来株では多くの菌において細胞の構造が良く保持されていたが、ラット由来株においては菌の死滅している像が多く観察された。このことは、人工培地の環境に対する両菌株の生存性あるいは増殖性に差があることを示唆してると考えられた。また、線毛様構造が観察された。さらに、Pasteurella multocidaで用いられているフェリチン法(Jacquesとfoiry,1987)をこれらの菌株に応用したところ、細胞壁の外側にP.multocidaとは明らかに異なる構造物が観察された。続けて、これらの菌株について糖の分解性などの生物学的・生化学的性状を調べたところ、いくつかの性状において菌株間で相違が認められた。
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[Publications] Sawada,T.,Borrathybay,E.,Kawamoto,E. et al.: "Fowl cholera in Japan : Disease occurrence and Characteristics of Pasteurella multocida isolates"Bull.Nippon Vet.Anim.Sci.Univ.. 48. 21-32 (1999)
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[Publications] 前島一淑 監修 有川二郎,石原智明,川本英一 他: "実験動物感染病の対応マニュアル"アドスリー. 345 (2000)