2000 Fiscal Year Annual Research Report
心臓血管系モデルによる指尖加速度脈波上における加齢の再現
Project/Area Number |
11680838
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Research Institution | Aichi Prifectural University |
Principal Investigator |
戸田 尚宏 愛知県立大学, 情報科学部, 助教授 (00227597)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
臼井 支朗 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (40023337)
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Keywords | 心臓血管系 / 数理モデル / シミュレーション / 指尖脈波 / 加齢 / 動脈硬化 / 圧受容器感度 / 非線形システム |
Research Abstract |
本研究では,計算機上に心臓血管系の数理モデルを構築し,動脈硬化など,これまでに考えられている加齢に伴う循環系の状態をモデル上で再現し,数値シミュレーションを行う事で,加速度脈波に現れる変化を臨床データと比較し,そうした考えを検証する事を目的としている.本研究で用いる心臓循環系モデルの基本的な構造は既に整っているが,各部分の整合性,各種パラメータ値の設定等に検討の余地が残されていた.平成12年度は、前年度に引続き,各部の整合を取る事でモデルを洗練した. 前年度における調査の結果では,加齢に伴う心臓血管系の各種の条件の変化の内,動脈硬化が大きな要因である事が判っていたが,本年度はこれに加えて,血管内に存在する圧受容器の感度が加齢に伴い低下している点が脈波の変化に大きく影響している可能性のある事をモデル上で確かめた.即ちモデルでは上頚動脈に相当する部位での血圧から心拍調節系への入力がなされているが,年齢に応じてその結合係数を変化させる事で,脈波が変化する事を確認した.前年度にコンプライアンスを変化させる事で得た定性的な傾向の一致に加えて,この圧受容器感度の変更を加える事で,さらに臨床データに近くなる事を確認した. また,今後臨床応用に供する際の検討を始めた.即ち,本モデルは全体として大規模で非線形である点から,患者個人への適用を考えると,データへの非線形モデルの当てはめ問題となり,非線形システムの特徴である高次スペクトルに着目すれば正確な同定の可能性が開ける.本年度は,高次スペクトルの推定法に関して検討した.さらに,今後の医療において,こうした患者モデルによるシミュレーションは極めて有効であり,ネットワークを通じて共有化する事の重要性に関して検討を行った.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 臼井支朗: "ニューロインフォマティクスの動向と展望"第15回生体・生理工学シンポジウム論文集. BPES2000. 1-4 (2000)
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[Publications] 西口善朋,戸田尚宏,臼井支朗: "座標変換を用いたテンソル積展開による高次スペクトルのパラメトリック推定"電子情報通信学会技術研究報告. 99巻685号. 239-246 (2000)