1999 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ波による乳がん病巣部の可視化に関する基礎的検討
Project/Area Number |
11680843
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
竹中 隆 長崎大学, 工学部, 教授 (40117156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 俊幸 長崎大学, 工学部, 助教授 (50202172)
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Keywords | マイクロ波トモグラフィ / 乳がん / 逆問題 / ランダム媒質 / 分散性媒質 |
Research Abstract |
本研究は,マイクロ波を用いて乳房内部の形態を可視化する安全で苦痛を与えない乳がん検診用断層イメージング法(CT)の開発のための基礎的検討を目的としている.本年度は乳房内部をマイクロ波領域のパルス波がどのように伝播するかを数値シミュレーションによって明らかにした.本年度の成果をまとめると以下の様になる. 1.乳房正常組織および腫瘍の電気定数(誘電率,導電率)に分散性および±10%のランダム性を仮定し,(1)乳房正常組織のみの場合,および(2)乳房正常組織中に腫瘍が存在する場合のパルス波の散乱特性を比較した.分散性およびランダム性に影響されずに腫瘍による十分大きな散乱が観測できた. 2.パルス波の乳房内部への透過効率を上げるため,乳房正常組織に整合する背景媒質で乳房を囲み,パルス波の散乱特性を調べた.乳房表面を覆う皮膚を考慮した数値シミュレーションでは,乳房正常組織のランダム性と腫瘍による散乱に加え,乳房表面を覆う皮膚による散乱があるため,腫瘍を検出する際に必要となる散乱特性への影響がみられた.この結果はマイクロ波トモグラフィに反復像再構成アルゴリズムを適用する際,皮膚に関する事前情報を利用すると収束特性を改善できる可能性を示唆している. 3.乳房内部を可視化するマイクロ波断層イメージング法の開発の第一段階として,一次元無損質媒質に対する反復像再構成アルゴリズムを導出した.エッジ保存正則化を組み込むことにより広い再構成領域に対しても安定に誘電率分布を再構成できることを確認した. 今後は,この成果をもとに,腫瘍を有する乳房内部を可視化するための像再構成アルゴリズムを開発し,その有効性に関して基礎的検討を行う予定である.
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Research Products
(2 results)