2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11680845
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Research Institution | Kyoritsu University of Pharmacy |
Principal Investigator |
金澤 秀子 共立薬科大学, 薬学部, 助教授 (10240996)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡野 光夫 東京女子医大学, 医用工学研究施設, 教授 (00130237)
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Keywords | ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド) / 温度応答性クロマトグラフィー / 機能性ポリマー / 高機能表面 / HPLC / 充填剤 / 環境応答性 |
Research Abstract |
環境変化を自ら認識し応答する高分子を分子設計し、固体表面に修飾することにより、環境応答性を付与したインテリジェントな高機能表面を作成することが可能である。本研究は、環境応答性高分子用いた高機能表面を分離の技術に応用し、既存の方法にはない全く新しい概念の分離システムを構築を目的としている。これまでの研究結果では、この高機能表面を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の充填剤に応用し、従来のHPLCの概念にはない新しい手法として、外部からの温度刺激により充填剤表面の性質の変化させ、結果として固定相と試料との相互作用、目的とする物質の保持を自由にコントロールする分離システムを確立した。現在、バイオテクノロジーの進歩に伴い、生理活性物質の活性を損なわない分離法が求められているが、この方法は、移動相組成を変化させる従来のクロマトグラフィーとは異なり、移動相に水または水溶液を用いて分離を行うため、タンパクを変性させる有機溶媒や移動相の調製を必要としない。すなわち"Green Chemistry"環境にやさしい分離方法といえる。このシステムは、ポストゲノム、遺伝子解析終了後に、今後益々重要となる発現タンパクの分離分析技術への応用が期待される。 1)Poly(N-isopropylacrylamide)(PNIPAAm)は、外部からの温度刺激に応答し低温側での伸展し水和した状態と高温側での収縮し脱水和した状態との間で鋭敏で可逆的な変化を起こす機能性高分子である。我々はこの機能性高分子をシリカ担体に修飾し、高機能表面をもつHPLC充填剤を開発した。温度応答性クロマトグラフィー(Temperature Responsive Chromatography)により水のみの移動相でステロイドなど医薬品やアミノ酸・ペプチドなどの他、ビスフェノールAなどの環境ホルモンの複雑な系における分析が可能であった。 2)HPLCにおける新しい手法である温度グラジエント法の確立し、生体試料など極性の大きく異なる複数成分を同時に迅速・簡便に分離することが可能となった。 本研究の成果の1つとして「温度応答性クロマトグラフィーによるアミノ酸の分離」に関する論文が、昨年末にアメリカ化学会(ACS)のジャーナルであるAnalytical Chemistryの表紙に取り上げられ、ACSのホームページで紹介された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] H.Kanazawa,T.Sunamoto,Y.Matsushima,A.Kikuchi,T.Okano: "Temperature-Responsive Chromatographic Separation of Amino Acid Phenylthiohydantoins using Aqueous Media as the Mobile Phase."Analytical Chemistry. 72. 5961-5966 (2000)
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[Publications] K.Yamamoto,H.Kanazawa,Y.Matsushima,N.Takai,A.Kikuchi,T.Okano: "Preparation of Packing Materials for Temperature-Responsive Chromatography.Modification of Silica Surface with Poly(N-isopropylacrylamide)"Chromaotgraphy. 21. 209-215 (2000)
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[Publications] 小林純,中山幸子,菊池明彦,金澤秀子,松島美一,酒井清孝,岡野光夫: "カチオン性温度応答表面による酸化生理活性物質の分離"医工学治療. 12・1. 670-676 (2000)
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[Publications] H.Kanazawa,Y.Matsushima,T.Okano: "「Advances in Chromatography vol.41」 ed.by P.R.Brown and E.Grushka."Marcel Dekker. 311-336 (2001)