2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11680847
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
藤井 麻美子 上智大学, 理工学部, 助手 (20173396)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金井 寛 上智大学, 理工学部, 教授 (20053548)
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Keywords | 散乱パターン / 位相関数 / Mie散乱 / 血液 / 散乱係数 / 異方性パラメータ / 生体の散乱特性 |
Research Abstract |
本研究の目的の一つである生体の散乱特性を計測するため、去年度までにゴニオメータを利用した散乱光強度の角度依存性計測システム(フォトゴニオメータ)の基本構成を完成した。前年度の研究成果は平成12年度第39回日本エム・イー学会にて発表した。本年度は去年度製作したフォトゴニオメータにより、円筒状石英セルからの散乱パターンを計測した。使用波長は805nmで垂直および水平偏光光の両方につき計測を行った。本年度の半ばまでは、光学パラメータ既知のアクリル球分散液を用いて計測系の総合的なノイズの検討や、Mie理論と比較ができるよう単散乱と見なせる濃度の検討などを行った。その後、計測がほぼ可能であることが分かったので、血液の微分散乱断面積の絶対値を推定するために、光学パラメータ既知のアクリル球分散液を標準として測定を行った。その測定結果とMie理論の計算結果とを比較することより計測系の総合的な装置定数を定めた。血液を含めた最終的な測定では、4種のアクリル粒子分散液と3種のヘマトクリット(赤血球の体積濃度)の血液について測定し、総合的な装置定数から単位ヘマトクリットあたりの微分散乱断面積S(θ)を換算し求めた。血液では試料の濃度によらずデータがほぼ重なった。また、文献値(A.Roggan et al.,"Optical Properties of Circulating Human Blood in the Wavelength Range 400-2500nm",J.of Biomedical Optics4(1),pp.36-46,1999)を参考に直径6μm、球粒子の屈折率1.40として計算したMieの計算値とほぼ合った。平成12年の8月に本装置の重要部分であるゴニオメータの故障が発生し、その修理に時間を要したため血液での計測を繰り返し行うことができなかったのが残念である。本研究の成果は平成13年度第40回日本エム・イー学会にて発表予定である。
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