2000 Fiscal Year Annual Research Report
血栓形成・血球破壊に対する拍動流の影響に関する研究
Project/Area Number |
11680854
|
Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
橋本 成広 大阪工業大学, 工学部, 助教授 (00146515)
|
Keywords | 生体計測 / 人工臓器 / 血栓形成 / 血球破壊 / 拍動流 / バイオレオロジー |
Research Abstract |
平行平板型レオスコープ実験システムを構築し、血栓形成、赤血球変形および破壊を決定する流れの条件を研究した。特に、赤血球が変形を始めるときの、せん断応力と変形の程度との関係を計測し、指数関数近似によって、特性応力なるパラメータを求めた。赤血球を遠心分離によって密度の大きさで区分して、この測定を行なった。赤血球は血管内循環時間が長くなるとともに、密度が増加する、すなわち、内包する水分の量が減少することが知られている。測定の結果、赤血球が内包する水分の量が減少すると、赤血球が変形するための特性応力が増加する、すなわち変形性が減少することがわかった。また、せん応力を正弦波状に変動させると、それに追従して変形も変動することがわかった。さらに、凹凸円錐型クエット流装置によって、血栓形成、血球破壊とせん断速度、せん断応力との関係を測定できるシステムを構築した。装置を構成する円錐の回転速度を制御することによって、周期的にせん断速度が変化する流れをin vitroにおいて実現し、拍動流における血栓形成、血球破壊を研究した。その結果、100s^<-1>以下のせん断速度においては、血栓の成長が著しい。拍動流においては、拍動数や最大流速を調整して、100s^<-1>以下の時間が2s以内になるようにすれば、血栓の成長を抑制できる。500s^<-1>以上のせん断速度が加わり続けると、血球破壊が進行する。拍動流においては、拍動数や最小流速を調整して、300s^<-1>以下の時間が挟まれるようにすれば、血球破壊の進行を抑制できる。ことなどが、わかった。本研究によって、血栓成長や血球破壊の抑制に、流れの拍動性が有効なことがわかった。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Shighiro Hashimoto,Shirou Manabe, et. al.: "Shear stress responsiveness for evaluation on erythrocyte aging with parallel-disc-rheoscope"Proceedings of the 6th World Biomaterials Congress. 929 (2000)
-
[Publications] Shigehiro Hashimoto,Mototumi Toda: "Simulation of cell group formation regulated by cell cycle and duplication frequency"Proceedings of the SCI 2000/ISAS 2000(IEEE). 10. 290-294 (2000)
-
[Publications] Shigehiro Hashimoto,Shirou Manabe, et. al.: "The effect of pulsatile shear flow on thrombus formation and hemolysis"Proceedings of the World Congress on Medical Physics and Biomedical Engineering (IEEE). 4766. 68096 (2000)
-
[Publications] 橋本成広: "生体計測工学入門"コロナ社. 194 (2000)