2001 Fiscal Year Annual Research Report
計算力学的手法によるコラプシブルチューブと拍動流れの連成問題の解析
Project/Area Number |
11680855
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
板東 潔 関西大学, 工学部, 教授 (70156545)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大場 謙吉 関西大学, 工学部, 教授 (30029186)
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Keywords | 計算力学 / 数値シミュレーション / バイオメカニクス / 連成問題 / 血流 / 有限要素法 / コラプシブルチューブ / 拍動流 |
Research Abstract |
血管を模擬したコラプシブルチューブが内部を流れる定常流における内圧の低下により座屈大変形を起こした場合のチューブ軸方向の内圧分布を予測する計算法を示し,実験との比較によりその計算法の妥当性を確認した。チューブが座屈変形を起こすと,その断面形状は円形から大きく変形し,内圧の低下に伴い楕円形から8文字形さらには内面同士が接触を起こしたメガネ形の形状となる。このような場合には水力直径を用いた摩擦損失の計算法は不十分であり,座屈変形した断面形状に対して摩擦損失を計算することが必要である。この計算は断面形状の複雑さのために数値計算を必要とする。本研究では有限要素法を用いて座屈変形した断面形状に対する単位長さ単位流量に対する摩擦圧力損失の計算法を示した。実際のチューブの断面形状はチューブ内に定常流が流れる場合の実測値を用いた。この実測値を用いて上述の摩擦圧力損失を求め,さらにベルヌーイ効果による圧力変化は実測断面積の変化より考慮した。チューブ内部に剥離域が存在しない場合はこの計算による圧力分布とその実測値は精度よく一致した。次に,チューブが最もつぶれた位置の下流に流れの剥離域が存在する場合には剥離による圧力損失を考慮する必要があるが,これは最もつぶれた位置での動圧を損失とすることにより圧力の計算値は実測値と一致させることが可能であることが分かった。 コラプシブルチューブの内を流れる定常流によりチューブが座屈大変形を起こした上と同条件の場合におけるチューブ内の三次元流れを数値シミュレーションにより求めた。ただし,チューブの変形形状は実測形状を用いた。計算には有限要素法を用いた解析ソフトFidapを用いた。断面内の軸方向流速分布の計算値と実測値との一致は十分なものであったが,さらに実測では求めることが困難な座屈大変形したチューブ内の三次元流れ,例えば断面内の軸方向速度分布,断面内二次流れ,せん断速度の空間的分布,壁面せん断応力の分布等を明らかにすることができた。これらの結果より,チューブが最もつぶれた位置およびそのより下流位置では,8文字形の中心部に低速域が集まること,およびその中心部に高せん断速度域が存在することを示した。また,壁面せん断応力は上記中心部に近い壁面上で最大となることを示した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 上村匡敬, 大場謙吉, 板東潔, 花園兼一: "大変形したコラプシブルチューブ内の軸方向圧力分布の予測"日本機械学会論文集(B編). 68・666(印刷中). (2002)
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[Publications] 堂園明寛, 板東潔, 大場謙吉: "座屈大変形したコラプシブルチューブ内の定常流の数値シミュレーション"日本機械学会第77期定時総会講演会講演論文集. [印刷中]. (2002)
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[Publications] k.Ohaba, T.Kamimura, K.Bando, K.Hanazono: "Distribution of Flow Velocity and Pressure in a Largely Deformed Collapsible Tube"Proc. IUTAM Symp. on Flow in Collapsible Tubes and Past Other Highly Compliant Boundaries. 4-1-4-2 (2001)