1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11680859
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Research Institution | Kyushu Tokai University |
Principal Investigator |
津田 良一 九州東海大学, 工学部, 助教授 (40117403)
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Keywords | 仮現運動 / ブレークダウン現象 / 定常誘発電位 / 心理物理測定 / 視覚心理 |
Research Abstract |
視覚心理現象の一つに仮現運動視覚がある。この仮現運動知覚を与える視覚刺激を連続的に繰り返し提示した場合に、運動知覚の状態から、運動知覚が消失して刺激が同時点減するように見えるブレークダウン現象が生じる。本研究の目的は、運動知覚と運動消失という視覚心理状態の変化を、非侵襲計測の一つである脳波を用いて客観的に評価できるかを検討することである。今年度は、まず、主観的な判断データを自動計測できる心理物理測定システムを作成し、運動知覚区間と運動消失区間を測定した。ブレークダウン特性に影響を与える刺激要因として、刺激の提示時間、刺激間の空間距離、刺激の往復周波数、刺激形状などがある。心理物理測定の結果、刺激間の空間距離と刺激の往復周波数が主な刺激要因であり、刺激の空間距離が大きくなるにつれて運動知覚区間は減少しブレークダウンが生じやすいこと、刺激の往復周波数は2Hzと3Hzの範囲では運動が知覚されやすいことがわかった。この結果をもとに、運動が知覚されている時と、そうでない時の定常誘発電位を測定した。往復周波数2Hzの仮現運動刺激提示区間のうち、被験者が運動を知覚している区間の誘発電位を収集し、加算平均した脳波を運動知覚関連脳波とした。また、2つの刺激部位が往復周波数4Hzで同時点滅する2点同時刺激をコントロール刺激として、これに対する誘発電位とを比較した。コントロール刺激に対する応答は、左右後頭部ではほとんど差異はみられなかったが、運動知覚関連電位の特徴として、右後頭部から右側頭部にわたる領域で優位な陽性電位が認められた。 次年度は、同一条件下における運動知覚とブレークダウン時の誘発脳波の比較を行い、その電源局在について検討をすすめる予定である。
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