1999 Fiscal Year Annual Research Report
太平洋島嶼国における芸術とアイデンティティ-太平洋芸術祭を焦点として-
Project/Area Number |
11691035
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 一般 |
Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
山本 真鳥 法政大学, 経済学部, 教授 (20174815)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
棚橋 訓 慶應義塾大学, 文学部, 助教授 (50217098)
豊田 由貴夫 立教大学, 文学部, 教授 (20197974)
船曳 建夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (90165457)
安井 眞奈美 天理大学, 文学部, 専任講師 (40309513)
橋本 裕之 千葉大学, 文学部・日本文化学科, 助教授 (70208461)
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Keywords | 芸術 / 太平洋 / アイデンティティ / パフォーミング・アーツ / 芸術祭 / 国民文化 / 文化政策 / 観光開発 |
Research Abstract |
・研究実施計画は、若干の日程等の調整を経て、ほぼ予定通りに遂行された。ただし、棚橋が当初予定していたソロモン諸島ホニアラでの調査は、現地での暴動が激しくなったため、断念した。予定した期間は、もうひとつの調査地クック諸島での滞在に振り替えた。 ・それぞれのメンバーが担当地区において、2000年度にヌーメアで開催される太平洋芸術祭の準備状況、及びその地域の伝統的パフォーミング・アーツ全体に関する予備調査を行った。サモア国では、ツーリズムの振興との関係で、それぞれに特色をもついくつものパフォーミング・グループが、政府の異なる部門とのかかわりを保ちつつ競争している。パプアニューギニアでは、既に代表チーム選出のためのコンテストが開始された。アメリカ領サモア、クック諸島、マーシャル諸島などは、経費捻出の見通しが不鮮明なため、選考はこれからとなる。一方、パラオでは2004年の大会を誘致する運動が始まった。これらの結果から、この芸術祭の参加がそれぞれの国の文化政策と大きく関わっていることを示している。 ・ハワイでは、ハワイ大学ハワイ・太平洋ライブラリーでの文献調査、ハワイでの研究者に対するインタヴューが行われた。またオークランド大学図書館において文献調査、人類学部AV資料室にてビデオ資料の調査が行われた。さらに、グァム大学図書館でも文献調査を行った。それらの結果から、この芸術祭が、脱植民地化の過程で、それぞれの国のリーダーによって文化政策として大きな意味づけがなされて始まっていることがわかった。 ・収集したり、閲覧したビデオ資料などから、それぞれのパフォーミング・アーツの形態が、この芸術祭を開始したときから、多少の変化を被っていることがわかる。芸術祭も含めた太平洋の諸文化同士の出会いが、さまざまな混交を生んでいることがわかった。 ・また、新しい芸術活動は、現地社会のなかからアーティストが育ちつつある。また海外移民社会において、特にニュージーランドでは、ポリネシア系の人々の芸術活動が、きわめて盛んなものになりつつある。
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Research Products
(25 results)
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[Publications] 船曳 建夫: "身体の文化人類学"井関利明・西山賢一共編 生命の知恵 ビジネスの知恵 (丸善新書). (2000)
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[Publications] 豊田 由貴夫: "メラネシア・ピジンと植民地主義"『オセアニア近代史の人類学的研究』国民民族学博物館研究報告. 別冊21号. 印刷中 (2000)
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[Publications] 棚橋 訓: "ポリネシアでジェンダーについて考える-性現象研究をめぐる若干の提言"社会学論叢(東京:日本大学社会学会). 第134号. 39-53 (1999)
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[Publications] 棚橋 訓: "ポリネシア・クック諸島における下位首長会議の成立と展開"社会人類学年報. 第25巻. 33-53 (1999)
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[Publications] 棚橋 訓: "民族誌的手法について学ぶ-反マニュアル派の民族学入門"三色旗(東京:慶應義塾大学通信教育部). 第618号. 17-20 (1999)
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[Publications] 棚橋 訓: "12のアプローチ(8)文化人類学-「恋愛」は簡単にはわからない"AERA Mook恋愛学がわかる(東京:朝日新聞社). 臨時増刊. 38-41 (1999)
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[Publications] 山本 真鳥: "壁のない家-サモア・ポリネシアの首長制社会"佐藤浩司編『建築人類学へのいざない(3)すまいは語る』学芸出版社. 171-188 (1999)
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[Publications] 山本 真鳥: "多文化状況下のポリネシア文化"田村克己編『文化の生産』ドメス出版. 204-220 (1999)
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[Publications] 山本 真鳥: "近くて遠い隣人たち-近代史のなかの西サモアとアメリカ領サモア"吉岡政徳・林勲男編『オセアニア近代史の人類学的研究』国立民族学博物館研究報告. 別冊21号. 印刷中 (2000)
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[Publications] 山本 真鳥: "隙間に生きる人々-あるサモア移民家族のハワイ暮らし"森廣正編著『国際労働力移動のグローバル化』比較研叢書. 15号. 229-271 (2000)
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[Publications] 山本 真鳥: "第8回太平洋芸術祭調査に向けて"須藤健一編、JCAS連携研究成果報告書. 第2巻. 印刷中 (2000)
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[Publications] 船曳 建夫: "ピナ・バウシュ論-あなたが女になったとき"『ダンスマガジン ピナ・バウシュ特集』新書館. 臨時増刊. 54-57 (1999)
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[Publications] 棚橋 訓: "文化人類学における体験知の思考と地域研究の困難"CASニューズレター(東京:慶応義塾大学地域研究センター). 第100号. 印刷中 (2000)
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[Publications] 棚橋 訓: "ポリネシア・クック諸島における土地問題の淵源-歴史的考察"杉島敬志編 土地所有の政治史-人類学的視点 風響社. 55-76 (1999)
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[Publications] 棚橋 訓: "移民たちの教会-ニュージーランドのクック諸島マリオ移民とキリスト教"宮家準編 民俗宗教の地平 春秋社. 499-511 (1999)
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[Publications] 棚橋 訓: "社会運動に展開する都市の希求-ソロモン諸島マアシナ・ルール運動からの覚書"塩田光喜編『太平洋島嶼国の都市化』日本貿易振興会アジア経済研究. 79-90 (1999)
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[Publications] 棚橋 訓: "ポリネシアで目の当たりにした、多様な「性」の原点"伊藤 悟・簗瀬竜太編『異性愛をめぐる対話』飛鳥新社. 175-199 (1999)
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[Publications] 橋本 裕之: "評価される身体、あるいは民俗宗教の臨界"山折哲雄・川村邦光編 民俗宗教を学ぶ人のために (世界思想社). 168-185 (1999)
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[Publications] Hiroyuki Hashimoto: "Exhibiting Plural Japans:The Ideology and Practice of National Museum"Journal of Museum History Research. No.8. 3-15 (1999)
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[Publications] 橋本 裕之: "複数の日本を展示する-国立歴史民俗博物館のイデオロギーとプラクティス-"博物館史研究. No.8. 16-26 (1999)
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[Publications] 橋本 裕之: "肖像の起源-王の舞と猿田彦-"鎌田東二編『隠された神 サルタヒコ』(大和書房). 144-181 (1999)
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[Publications] Hiroyuki Hashimoto: "What's Next?:Changing Ideas and Images of the National Museum of Japanese History"Musees et Politique:Actes du Quatrieme colloque de l'Association internationale des musees d'histoire(Musee de la civilisation). 269-282 (1999)
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[Publications] 橋本 裕之: "小屋掛けストリップの日々"鵜飼正樹+北村皆雄+上島敏昭編『見世物小屋の文化誌』(新宿書房). 152-173 (1999)
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[Publications] 安井 眞奈美: "ミクロネシアの出産および産後の過ごし方-その変遷過程に注目して"吉村典子編 出産前後の環境-からだ・文化・近代医療 (講座・人間と環境第5巻)昭和堂. 252-280 (1999)
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[Publications] 安井 眞奈美: "現代女性とライフスタイルの選択-主婦とワーキングウーマン"岩本通弥編 覚悟と生き方 (民俗学の冒険4)ちくま新書. (1999)