2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11691038
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Research Institution | RIKKYO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
弘末 雅士 立教大学, 文学部, 教授 (40208872)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富永 智津子 宮城学院女子大学短期大学, 教授 (90217547)
重松 伸司 追手門学院大学, 文学部, 教授 (20109242)
田中 恭子 南山大学, 総合政策学部, 教授 (00167496)
深見 純生 桃山学院大学, 文学部, 教授 (40144555)
濱下 武志 京都大学, 東南アジア研究センター, 教授 (90126368)
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Keywords | 環インド洋世界 / ネットワーク / 移住者 / 地域世界 / インド系移住者 / アラブ系移住者 / 華人系移住者 / アルメニア系移住者 |
Research Abstract |
環インド洋世界におけるネットワークの形成と地域世界の構築を移住者をとおして考察することすることする目的とする本プロジェクトは,最終年度の本年度,インド系,アラブ系,アルメニア系,華人系移住者の活動について多角的に調査するとともに,研究会をとおして,環インド洋世界のネットワークの特質について議論を深めた。 これまで東南アジア島嶼部の歴史研究に携わってきた弘末,深見は,イエメンでの調査をとおしてハドラマウト出身のアラブ人の東南アジア移住について考察した。また同じく東南アジア島嶼部の歴史研究に携わってきた研究協力者の西尾寛治は,マレー世界におけるインド系移住者の研究を進展させた。 長年華人系移住者の研究に携わってきた濱下と田中は,インドにおける調査をとおして,インド系移住者と華人系移住者とのそれぞれのネットワークの接合のされ方について考察を深めた。また研究協力者の大石高志は,インドおよびスリランカでの調査をとおして,南アジア系移住者のアフリカとのネットワーク形成の歴史的研究を進展させた。 近年ベンガル湾世界におけるネットワークを研究してきた重松は,インド,マレーシア,シンガポールにおける調査をとおして,インド系移住者の果たす役割について研究を進展させるとともに,アルメニア系移住者の果たした役割の重要性を提起した。またマレーシアにおけるインド系移住者のネットワークを考察してきた水島は,タイやミャンマーにおけるインド系移民の実態を調査し,彼らの形成するネットワークとの比較研究を行った。 以上の調査研究およびこの3年間の研究活動を踏まえ,研究会を2度開催し,環インド洋世界におけるネットワークの特質について,議論した。多様な移住者が多彩なネットワークを形成していることから,改めてそれらを接合したり媒介する存在の重要性を,認識するに至った。
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[Publications] 弘末 雅士: "西インドネシアの展開-海域世界の活性化と地域統合"岩波講座東南アジア史4-東南アジア近世国家群の展開(岩波書店)所収. 59-84 (2001)
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[Publications] 弘末 雅士: "インドネシアの「聖戦」"岩波講座東南アジア史7-植民地抵抗運動とナショナリズムの展開(岩波書店)所収. 25-49 (2002)
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[Publications] 重松 伸司: "南インド・バッキンガム運河史序説-海陸連結ルート・商品・交易"史苑. 62・1. 156-178 (2001)
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[Publications] 濱下 武志: "海からのアジア論-海国中国の登場と新たな周縁ナショナリズム"アジアを知れば世界が見える(小学館)所収. 50-59 (2001)
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[Publications] 深見 純生: "マラッカ海峡交易世界の変遷"岩波講座東南アジア史1-原史東南アジア世界(岩波書店)所収. 255-283 (2001)
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[Publications] 水島 司: "マラヤースズとゴム"岩波東南アジア史6-植民地経済の繁栄と凋落(岩波書店)所収. 65-88 (2001)
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[Publications] 富永 智津子: "ザンジバルの笛"未来社. 221 (2001)