2000 Fiscal Year Annual Research Report
南アジア社会におけるキリスト教と社会文化的変容に関する研究
Project/Area Number |
11691051
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
杉本 良男 国立民族学博物館, 民族文化研究部, 教授 (60148294)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 星子 京都文教大学, 人間学部, 助教授 (70298743)
小林 勝 長崎純心大学, 人文学部, 助教授 (20269096)
川島 耕司 国士舘大学, 政経学部・一部, 助教授 (60296811)
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Keywords | キリスト教 / ミッション / 南アジア / ナショナリズム / カースト制 |
Research Abstract |
本年度は2年計画の最終年度に当たり、引き続きインド、スリランカ、レユニオン、および昨年度の経験からヨーロッパにおける調査・資料収集の必要性がでてきたために、フランスにも分担者を派遣し、資料の収集にあたった。さらに、年度末に研究会を開催し、これまでの収集資料のつきあわせ、および分析・考察の結果を持ち寄って報告しあった。その結果、南インドからスリランカ、インド洋西域におけるインド系住民の社会・文化にあたえたキリスト教の影響は、当然ながら決定的なものがありながら、一方で、当該社会における社会政治状況によって、それぞれ独自の展開を見せたことが実証的に明らかになった。とくに注目すべき点として、1)歴史的にキリスト教とカースト制との関係が極めて複雑であり、とくに理論上カースト制の存在を否定するキリスト教ミッションのがわが、現実にはカースト制を温存するかいなかをめぐって論争を繰り返していたこと、2)プロテスタント的キリスト教を媒介にして、仏教、ヒンドゥー教などの宗教的ナショナリズムがそれぞれの地域で独自の展開を見せたこと、3)宗教間相互の布置関係の中で、それぞれの宗教がたがいに影響を与え合い、きわめて複雑な様相を生み出していること、とくにマリア信仰が南アジア社会の女神信仰と親和的であり、宗教間の交流の有力な窓口になってきたこと、などが知見として明らかになった。本助成による研究の成果は、報告書としてまとめられたとともに、また単発の論文としても順次刊行される予定である。
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Research Products
(1 results)