2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11691059
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
家田 修 北海道大学, スラブ研究センター, 教授 (20184369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉野 悦雄 北海道大学, 経済学研究科, 教授 (80142678)
山村 理人 北海道大学, スラブ研究センター, 教授 (60201844)
林 忠行 北海道大学, スラブ研究センター, 教授 (90156448)
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Keywords | ロシア / 東欧 / 土地 / 農業 / EU / 人口問題 / 集団化 / 指導者 |
Research Abstract |
本研究の課題は社会主義体制崩壊後の十年間における農村経済の変容を、現地調査と国際比較に基づき研究することであり、その研究成果は以下の通りである。 1.個人農場への移行:a)(政治一元論の限界)政治体制の移行により集団農場が解体し、個人農家が形成されるとの一般的予測は妥当しない。b)(経済的連続性論の限界)社会主義時代における集団農場の経営実績とその後における残存に一定の相関性はあるが、一般化はできない。本研究ではc)農場経営を地域内資源の統合という観点から見ることにより、集団経営か個人経営かという対立の図式を越えた地域指導者論の可能性という新たな視点が得られた。2.土地問題:a)(小土地所有)農地改革の結果、数ヘクタール規模の小土地所有が圧倒的な多数を占めるようになった。ただしソ連継承国の多くではいまだ個人的所有権は未確立のままである。土地所有の統合過程は例外的だが、東欧の場合にはその背後に西欧資本の存在が認められる。b)(借地問題)旧集団農場が継承された場合も含めて中・大規模の農場は無数の小借地の上に成り立ち、土地所有権が強くなるに従って高率借地料、土地の散在性が農場経営の足枷となっている。c)(土地保全)土地の持続的生産性を保護する主体が存在せず、土地資源の略奪的利用が始まっている。3.人口問題:歴史的な農村過剰人口問題が現在でも多くの国で存在し、農業は商品生産である前に生存保障の術である。商工業部門が過剰人口を吸収する見込みは少なく、農村の貧困は最大の社会問題になる。4.EU加盟問題:EU農業政策に合致する農業経営はあまり発達していない。西欧の生産拠点が東に移る動きは東欧の失業問題にとり肯定的要因であるが、西欧農業との競争が激化している。地域内資源統合における指導的農家の育成を考慮すると、EU加盟は東欧の農業に大きな打撃を与える可能性が高い。
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Research Products
(13 results)
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[Publications] 家田 修: "改革後のルーマニアにおける農家経営-コヴァスナ県における事例調査をもとに"東欧ロシア地域における農村経済構造の変容(スラブ研究センター, 北海道大学). 23-64 (2001)
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[Publications] Ieda Osamu: "Rural cooperatives and members' liability in a historical perspective"New Structure of the Rural Economy of Post-communist Countries(Slavic Research Center, Hokkaido University). 1-14 (2001)
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[Publications] Ieda Osamu: "The Re-transformation of Co-operative Farming and Rural Society in Hungary"Transformation and Diversification of Rural Society in Eastern Europe and Russia(Slavic Research Center, Hokkaido University). (近刊). (2002)
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[Publications] 林 忠行: "チェコスロヴァキアにおける農業の転換 土地法と協同組合転換法の立法過程をめぐって"東欧ロシア地域における農村経済構造の変容(スラブ研究センター 北海道大学). 99-127 (2001)
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[Publications] Hayashi Tadayuki: "Politics of the agricultural transformation in Czechoslovakia : 1990-1991"New Structure of the Rural Economy of Post-communist Countries(Slavic Research Center, Hokkaido University). 25-42 (2001)
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[Publications] 山村理人: "移行経済諸国の農地問題-東欧の事例を中心として"東欧ロシア地域における農村経済構造の変容(スラブ研究センター 北海道大学). 1-22 (2001)
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[Publications] 山村 理人: "移行経済下の農業企業-チェコ、スロバキアの事例を中心とした分析-"東欧ロシア地域における農村経済構造の変容(スラブ研究センター 北海道大学). 65-98 (2001)
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[Publications] Yamamura Rihito: "New Phase of Post-Socialist Structural Changes in Russian Agriculture"Transformation and Diversification of Rural Society in Eastern Europe and Russia(Slavic Research Center, Hokkaido University). (近刊). (2002)
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[Publications] Yoshino Etsuo: "Polarization process of Polish agriculture in the latter half of 1990s"New Structure of the Rural Economy of Post-communist Countries(Slavic Research Center, Hokkaido University). 107-122 (2001)
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[Publications] Yoshino Etsuo: "Polish Agriculture : Today and Future"Transformation and Diversification of Rural Society in Eastern Europe and Russia(Slavic Research Center, Hokkaido University). (近刊). (2002)
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[Publications] 家田 修: "東欧ロシア地域における農村経済構造の変容"スラブ研究センター/北海道大学. 127 (2001)
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[Publications] 家田 修: "New Structure of the Rural Economy of Post-communist Countries"スラブ研究センター/北海道大学. 159 (2001)
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[Publications] 家田 修: "Transformation and Diversification of Rural Society in Eastern Europe and Russia"スラブ研究センター/北海道大学(近刊). (2002)