2000 Fiscal Year Annual Research Report
ベトナム北部における開放政策の展開と地域的一体性の変容
Project/Area Number |
11691065
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古田 元夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50114632)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白石 昌也 早稲田大学, アジア太平洋研究センター, 教授 (70127330)
栗原 浩英 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助教授 (30195557)
岩月 純一 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (80313162)
伊藤 正子 大東文化大学, 国際関係学部・国際文化学科, 講師 (20327993)
竹内 郁雄 東京農工大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (90313288)
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Keywords | ドイモイ(刷新) / 改革・開放 / 市場経済 / 社会主義 / 国境貿易 / ベトナム北部 / 中国南部 |
Research Abstract |
本年度は主としてベトナムのランソン、カオバン、ハーザン各省と中国の広西壮族自治区で調査を行った。陸路・鉄道双方で有力な国際ゲート(友誼関・ドンダン)を擁し、広西の経済的中核地域と直結するランソンと、広西の経済的辺境地帯(靖西)と接し、国際ゲートをもたないカオバンとでは、貿易額にも大きな格差が生じつつあり、輸出入総額で見ると、ランソンは3億2200万ドル(1999年)、カオバンは1900万ドル(2000年)となっている。ハーザン省に至ってはランソン・カオバン両省に適用されている国境地域における投資・貿易優遇政策も、中央政府が検討中という理由でまだ認めておらず、中国側からの投資も見込めない状況にある。このようにベトナム政府の中越国境地帯に関する政策は一様ではないが、中越国境地帯の経済開発には(1)中国側の隣接地域も視野に入れて開発を図るのかあるいは国内の僻地開発の一環として位置づけるのか、(2)地方自治の存在しないベトナムでどれだけ地方政府(省人民委員会)の権限や裁量を認めるのかという問題がいずれ避けて通れなくなるであろう。 また、中越国境地帯の多面的な安定に決定的な意義をもつ中越陸上国境確定条約(1999年12月調印)、北部湾(トンキン湾)領海・排他的水域・大陸棚画定条約(2000年12月調印)についても、内容が公表されなかったため、これらが国境画定の諸原則を提起したものか、あるいは実際に国境を画定したものなのかは不詳であった。これに関してはベトナム側関係者の協力を得て条約の骨子と調印に至る過程を把握するとともに、両国が清仏戦争の後で設置された標石や国際法・国際慣習をもとにして少なくとも地図上で国境線をすでに画定したことを確認することができた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 栗原浩英: "The First Congress of the Indochinese Communist Party (1935) and its Aftermath"アジア・アフリカ言語文化研究. 60号. 1-35 (2000)
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[Publications] 伊藤正子: "国家の少数民族政策とエスニシティの変容-ベトナム北部の「タイー族」「ヌン族」の一村を例に-"アジア研究. 46巻2号. 51-86 (2000)
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[Publications] 古田元夫,白石昌也,岩月純一 ほか(共著): "日本・ベトナム関係を学ぶんのために"世界思想社. 270 (2000)