2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11691072
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
加藤 三保子 豊橋技術科学大学, 語学センター, 助教授 (30194856)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 昌之 アジア経済研究所, 経済協力研究部, 研究員
石沢 春彦 日本手話研究所, 外国手話研究部, 研究員
安藤 豊喜 日本手話研究所, 所長
土谷 道子 日本手話研究所, 外国手話研究部, 研究員
高田 英一 日本手話研究所, 外国手話研究部, 研究員
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Keywords | 中国手話 / 障害者福祉 / 聴覚障害児教育 / ろう者の情報保障 / 手話通訳 |
Research Abstract |
平成12年度は中国における手話事情の現地調査をおこなった。調査地は北京、天津、上海の3都市である。調査は聴覚障害者団体の組織と活動、障害者に関する法律、手話研究の動向、聴覚障害児教育など6項目である。また、中国手話の言語学的研究のため、北京と上海でろう者の手話をビデオ収録した。 中国を代表するろう者団体は中国聾者協会である。この協会は中国障害者連合会(88年設立)の専門部の一つである。日本のろう者団体と異なるのは、中国聾者協会は会員制をとっておらず、病院での聴力検査で41デシベル以上の者は自動的に協会の構成員となり、各種の権利義務を負うという点である。この協会は、障害者自身の代表組織、障害者に対する社会福祉団体、障害者事業の管理機構という3つの性格をもつ。 中国障害者保障法(91年5月施行)の目的は、障害者の合法権益を擁護し、障害者事業を発展させ、障害者が平等な地位と均等な機会をもって充分に社会生活に参加し、社会の物質文化の成果を共に享受することを保障することにある。 広大な国土と膨大な人口を有する中国には約2千万人もの聴覚障害者がおり、使われている手話の地域差も大きい。したがって、標準手話を確定する困難さは想像以上であるが、中国では1958年から各地の手話の調査を開始し、標準手話の確定に向けて研究を重ねてきた。その成果は『中国手語』(90年発行)、『中国手語(続)』(94年発行)にまとめられ、現在ではこれらを標準手話として全土に普及させる努力がなされている。標準手話はろう教育機関やテレビの手話放送などで積極的に使用されている。 改革解放以来、障害者に関する法の整備もすすみ、中国のろう者の生活環境は着実に好転しているが、手話通訳制度はまだ充分に整っておらず、手話通訳者の養成事業は中国でも大きな課題となっている。
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