1999 Fiscal Year Annual Research Report
西アフリカ型小低地集水域の農牧林業システムと土地制度に関する研究
Project/Area Number |
11691084
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Section | 一般 |
Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
若月 利之 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (50127156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高根 務 日本貿易振興会, アジア経済研究所, 研究員
林幸 博 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (90277400)
北村 義信 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 助教授 (80284008)
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Keywords | 熱帯アフリカ / 焼畑 / 水田の持続的生産性 / 森林再生 / 土地制度 / 小低地集水域 / アシャンテ地域 / 分益小作 |
Research Abstract |
熱帯アフリカの伝統的農業システムはアップランドの森林を犠牲にする畑作が中心であり、低地の利用は進んでいない。この結果、約4億haの森林が失われ劣化農地と化している。熱帯アフリカ全体では2000万ha以上の水田稲作ポテンシャルがある。低地の水田の持続的な生産性は焼畑利用のアップランドの10倍以上あるので、今後50-100年でこの2000万haが水田化できれば、5-10億人分の食料増産に資するだけでなく、2億ha以上の森林再生も可能になる。アフリカにおいては単なる緑化ではなく、食料増産が森林再生の前提となる。森林の再生は、水保全とともに樹木による土壌生成を促進し、低地水田の持続的生産力をさらに向上させる。 長期的に見れば、低地における水田作りが進むかどうかは、水や土壌や地形や気候といった自然生態条件に合った水田農業技術が開発されるだけでなく、社会経済条件、就中、アフリカ在来の土地制度の中で、開発に当たった小農に長期的な利益(インセンテブ)が保証されるかどうかが重要である。長期的にその開拓水田の利用権を保証する制度や契約を作りだすことができるかどうかが重要となる。この点では樹木プランテーション作物で、水田稲作と同じく長期的な利益が望めるカカオ林の開発では、ガーナのアシャンテ地域に存在する小作人の土地権利を長期的に保証する造成・分割契約(分益小作制度)が参考になるものと考えられる。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] M.M.Buin and T.Wakatsuki et al: "Soils of Flood Plains of West Africa:General Fertality Status"Soil Sci.Plant Nuts.. 45(1). 37-50 (1999)
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[Publications] 若月利之: "バングラデシュの食料不安と「在地の技術」-コメント"農耕の技術と文化. 22. 88-93 (1999)
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[Publications] M.M.Buin,T.Masinaga,T.Wakatsuki: "Sulfur and Zinc levels as limiting faitors to rice production in West Africa lowland"Geoderma. 94. 23-42 (2000)
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[Publications] 若月利之: "水田と森のエコテクノロジーによるアフリカと日本の再生プランの提案"地球環境. 5(印刷中). (2000)
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[Publications] K.Hayashi and T.Wakatsuki et al: "Indigenous scil knowledge for sustainable agricultural development in sahel zone of Niger,West Africa,1. Scil quality characterization"Tropics. 9(2)(印刷中). (2000)
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[Publications] K.Hayashi and T.Wakatsuki et al: "Indigenous scil knowledge for sustainable agricultural development in sahel zone of Niger,West Africa,2.Indigenous soil classification system"Tropics. 9(2)(印刷中). (2000)
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[Publications] 高根務: "開発介入と住民のインセンティブ構造:中部ガーナの在来土地制度と小規模水田開発の事例"アフリカレポート. (印刷中). (2000)